昨晩
山形の仲間から電話があって長話

お歳暮が届いたと…
おう 少しな…

そんなことは
わずか一言だけで
あいつとは
言葉途切れることなく
いつも長話となる

そう
マブダチってもんは
やはり
言葉途切れることのない
仲間だけなのだろう

それは40年前に

いつも連んでいた渋谷の話で
あの頃って話題は絶えず
お互い
言うに言えない多くを知った仲

昨晩の話は 川島なお美となり
若さゆえ
会ってなんとかしたいと
毎日 忍び込んだ青学の学食

でも なかなか会えず
調べ直したら夜学だった なんて
そんなつまらん話も
あの日 本気だったから
面白くも残る記憶となる


バラとワイン


そうそう
先日 彼女の墓参に出掛けてな
なんて話も
カクカクシカジカ…と長くなる

そうだ
いつかお前が送って来た
彼女のヌード写真集
まだここにあるぞ! なんてあいつは笑い

ならば
随分と
お世話になったか と笑い返す僕


卒業し
田舎へと帰ったあいつ

その後
何度かの行き来はあったものの
ここ20年 会ってはいない

還暦となり
お互いの容姿は変わったろうが
気持ちはあの頃のまま

おい
渋谷はすっかり変わってしまい
あの頃の姿はないぞ
知り尽くしたはずの渋谷で
迷子になるぞ

そろそろまた
出て来ないか? と笑うが
なかなか腰が重いらしい

ならばこちらから行くよ と言うと
必ず PCR検査を受けてから来いよ!
なんせこっちは
都会の連中に敏感だからと笑う

面倒な時代となったな
ならば新幹線で行き
山形ナンバーの
レンタカーを借りるよ と笑う

そう
元気な顔を見て
安心して呑みたいだけなのだ


振り返れば
あの頃の仲間たちと呑むと
一瞬であの頃って時間に連れ戻され
上手く行った話よりも
失敗したことばかりともなり
いつも大笑い

それでも
皆 記憶はすでに定かではなく
個々にその記憶は
わずかづつ
自分の都合の良いように変化して
そこにいたはずの仲間の中でも
意見に大きく違いが出る

特に
男だけの集まりで
酒でも入ったならば
やはり話題は 女ともなり

あの女は…
その女も…
あの女が… なんて
すでに記憶すら消えた話が
いくらでも飛び出して来る

しかも
それは特に自分のことではなく
相棒のことを良く覚えていたりして
記憶を辿っても
そこへと辿り着けないことばかり

特に
あの頃の渋谷は
今ほど混んではなく
伸び伸びと遊べた昭和

ラスカラという
公園通りのディスコには
毎晩 多くの仲間たちがいて


若気の至り
今月 髪は金だったり
先月 アフロだったり
その前は サーファーだったり…


今なぜか
時折
夢に見ることがあって

そう
あの日
コンドームに穴が空いていたことに
気付かなかったならば

もしかすると

40歳にもなるハーフの子供がいて
金髪のカミさんには
とうに
アメリカに逃げられて… なんて 
不思議かな うなされる

そんなことが
現実にあったはずはなく
きっと
そんな妄想を抱いた中で
格闘していた若さなのだろう

それでも
憧れた金髪娘たちには
出来もしない英単語を並べ
なんとかしたいが
なんともならない なんて
モテない君状態だった僕ら

そんなことの
一部始終を知っている連中は
すでに皆
地方へと戻って

何事もなかったかのように
平和な家庭の中で
真面目な父親を演じている

そんな
古い仲間たちが集まったならば
一瞬であの日に連れ戻されて
18歳になったばかりの
一切 恐いものがなかった頃の
昭和の風が吹いて来る

渋谷は変わってしまったぞと
毎年
この時期にお歳暮のお礼にと
電話で話す山形の仲間は

卒業して戻ったきりで
40年前の渋谷しか知らない

宮下公園はなくなったぞ
ハチ公も動いたぞ
バッティングセンターも
パルコも
東急も
公会堂も
ルノアールも
バックドロップも…



そうだ
そろそろ
会っておかねばならない

無事 
還暦を過ぎたお祝いに

場所はやはり 渋谷が良いだろう


何人集まるか分からないが

集合時間は

それからたっぷり呑める

5時くらいが良いのだろう


あの日

つまらんことで殴り合い

迷惑を掛けたあの店は

まだ残っているだろうか…