忠臣蔵の季節が近づくと
講談師たちは皆
そこへと力を注ぎ込む
講談だけでも忠臣蔵には
数100もの噺があるそうで
四十七士を取り上げた内伝と
そこを取り巻く人々の外伝とに
分けられる
中でも
特に好きなものは
外伝の 荒川十太夫
聴く度に涙は出て
あっぱれ! と呟く
もちろん
その多くは
長い年月
講談師たちにより美化され
史実とは異なるものもあるだろう
しかし
それはそれで良いのだ
すでに
本当を知る術はなく
残された書物ですら
誰がどう解釈したかで
変わってしまうのだから…
そこにおるのは
荒川ではないか!
伯山は
強く張り扇を叩き
物語は本編へと移る
堀部安兵衛の介錯を行った
身分の低い侍 荒川十太夫は
安兵衛から問われ
敬意から自分は藩の要職にある者だと咄嗟に嘘をついてしまう
しかし
それゆえ苦しみ
要職の姿に偽り
安兵衛の墓参りを続けておると
ある日その姿を
上役に見とがめられてしまう
藩の掟に背いた罪で引き出されながらも口を閉ざすが
能力を認めていた主君からの問いに
本当を話し出す
口を閉ざし
自分を打ち首にしてくれと訴えていたが
安兵衛とのいきさつや
その為の内職をと口に出すと
主君もまた涙し
しかし 罪は罪として
100日間の謹慎を命じ
それが解けた後
安兵衛に伝えた要職にと…
安兵衛への忠義で
出世したことへの感謝を
騙されて心地よく咲く室の梅
と詠んだそうだ
やはり
ここが最高峰なようだ
是非
この時期に聴いて頂きたい
それも
伯山のライブ会場で聴いて頂きたい
義士の1席であります
あっぱれ!


