黒姫では
森へと向かう前に
必ず立ち寄る場所があって

そう
あの日のニックさん家
そして
渓流沿いの道場と仕事場





すでに
主人なき家は
わずかに朽ち始めていて

それでも
あの日の笑顔が見たくて
そこへと佇み
コンコン とドアをノックしてみる

すると
やあ 元気?
さあ 中へ なんて

いつもの笑顔が見えた気がして
涙する




一昨年の春
最後にお会いした姿は
すっかり戻った体格で
安心していたのに…



昨日もまた
ニックさんと同じように
ご自宅から
仕事場への道のりを

ヘイホー ヘイホー なんて
口ずさみながら歩いてみた

道には

落ちた沢山のどんぐりが

ジュウタンのように敷き詰められ
コナラの葉は色づき

雪が近いことを知らせてくれる


黒姫はまた

長い冬へと入る…