ちょうど

18になったばかりの頃
そのアルバムが出て
カセットテープに録音し

やっとこさ手に入れた免許
やっとこさ手に入れた古い車

そして
そこだけ真新しいオーディオ
ロンサムカーボーイに
そのカセットテープを押し込み
夏直前の海へと出掛けた

助手席には
彼女になるかならないかくらいの
彼女が座り
その夏が始まった



真夏には
大勢の仲間たちと
まだまだ避暑地だった軽井沢へと

秋には
その助手席は空いてしまったけれど
そのアルバムの曲に重なった
多くの出来事は
すべて思い出と化した



今でも
1番大切なそのアルバムは
すでにCDという姿になり

更には
その形すら消え
手のひらのスマホという小さな箱で
いつでも聴くことが出来る

それらの進化を
順を追って見て来た僕ら世代は
便利さと引き換えに
失くしてしまった多くのものに
寂しさを覚えるけれど

止まらぬ時代に
取り残されぬようにと
頭を抱えながら

やっとやっとそれらを操作する


わずか40数年

想像もしなかった世の中が現実となり その渦に呑まれ

溺れないようにともがいている初老

日常のトキメキは
減ってしまったけれど
振り返ることが増えて

あの頃って時間ばかりが蘇り

仲間たちと呑めば

古い話ばかりで言葉尽きない

昭和は確かに不便であった
けれど
昭和は確かに楽しかった

昭和が終わった日
仲間たちと上越のスキー場にいた

昭和が終わったらしいよ なんて

雪舞うゲレンデで誰かが笑った

新たな時代を

なんとなく期待していたけれど

平成は あの始末


おかげで
令和には期待しない大人となった

この国を捨て
他国へ逃げられる連中が

羨ましいと思うけれど


本家の長男

家を守るべき立場で生を受けたから

今まだ この国にしがみ付いている

子供たちには
他国を体験させたけれど
どうやらこの国が良いらしい

そんなことを思う夏も
もう終わろとしている

なんせ
初めての還暦だから…