その小さな寄席の席亭は
噺家よりも面白いと評判のオバさんで
そこに集まるファンたちは
噺家よりも席亭が目当てな方々ばかり
世に出る前の若手噺家たちを集め
あれこれとアドバイスをし
腕を磨かせ
そろそろ大丈夫ね と手放す
そこを巣立った方々は
その後 世に出て
時折 恩返しにも見える
そんな席亭と気が合って
長年 話す中で
どこかに良い若手はいない? なんて
いつも…
では 誰々では? なんて返すと
あぁ それはダメ! なんて
では こちらでは? と返すと
それも… なんて
毎度 笑いながらの演者探し
そう
いくら良いと評判でも
席亭の見る目が大事で
1度来て頂いても
残念 それっきりみたいな
そんな中
立川流の師匠の弟子では? なんて話すと
あぁ 立川流はダメ なんて返され
それでも
彼だけはと 連れ出した小さな寄席
そう
まさにスカウトで
事前にカクカクシカジカと
その若手に連絡はしておいたものの
果たしてどんな答えかと心配しながら
そこでは相変わらず
爆笑のマクラを振り
会場を賑わせている中で
落語 紙入れ を話す前に
不倫話のマクラを話し出した会場
見ると
その ど真ん中に
どう見てもそんな不倫カップルの姿…
その真後ろに座った僕らは
あれ やっちまったな なんて
笑いながら
そわそわし出したその女性の仕草を
心配などして
終演後
では一杯と連れ出した近くのラーメン屋
そこで
カクカクシカジカなる席亭との面談
客を意識しないマクラはダメだったけれど
まずは合格
その後 こちらの寄席へと出てもらい
良い具合に始まった会
直後 コロナ禍となり
止まるかと思ったら彼だけは止めず
毎月 8本もの会を
キャパを減らし
コマーシャルもせず
常連だけでやり続けたもんだから
噺家多しといえども
昨年 日本1寄席に出ていたはずで
そこへ
また席亭の直感は冴え
毎月1本の新作を! と
無理な宿題をも出して
なんとそれが
期待以上の出来で すでに7本
更には
今年のNHK杯にもエントリー中
さあさあさあ
そろそろ
良い風が吹いて来たようだ!
さて
次はどの若手を…
