例年ならば
そろそろ
奈良の宿の予約をと急ぐ頃
なのに
昨年から こんな世の中
昨年は
迷いに迷って 辞退などしたけれど
わずかに報道された映像に
やはり行くべきだったと
後悔などして…
なんせ
世の中に何事が起ころうとも
1300年 1度たりとも
絶やさず続けて来た行事
何度かの僕のその日の中にでも
寒い雨もあれば 冷たい雪もあった
こちらが
諦めてはいかんのだ
願えば叶うと言うけれども
数年前には
なんと 偶然出会った方に
内陣まで入れて頂けた
目の前で行われる
五体投地 走り 達陀 …
漂う匂いと煙りとの中で
絶えず唱える練行衆たちの 南無観世音
女人禁制
格子の中で
選ばれた11人の男たちが
歴史を刻み続ける
そう
二月堂では
外での派手な松明の業の後
残った者たちだけの
それはそれは 厳しい業
それをこの目で見届けねばと
今を記憶せねばと
きっと
いつぞやかの先祖のどなたかが
わずかにDNAの中に残した記憶
そして
その先祖に良く似た子孫が現れた時
そして
ある年齢に達した時
心 発芽させる時限装置のような
それが
たまたま 僕で
たまたま 今なような
いえ
僕の場合
その引き金を引いたのは
さださんで
奈良は
時間の大きな粒子が
身体を突き抜けて行くと…
まさにその感覚で
そして
まほろば と 修二会
この2曲に呼ばれたみたいな
人影なくなった真夜中に
二月堂から宿までの長い帰り道
恐ろしくなるような
何者かが現れるかのような
写真を撮れば
見えぬ何者かが写り込むかのような
その古寺の暗い坂道を
ひとり てくてくと歩きながら
まほろば を口ずさみ
怖さを紛らわす
すると
寝ぐらへと戻りはぐれた鹿が
目を光らせてこちらの様子を伺う
真夜中の東大寺の風景
1300年 過去の多くの人々が
見た聞いた感じたものが
長い時を隔てても
今まだそこにある奇跡
そして
永遠に残さねばならない
それはそれは美しい宝の業
長い長い歴史の中で
わずかな時間だけでも
ご一緒出来た誇りと
子孫へと残すこの気配との狭間で
僕が 何をしても 何もしなくとも
時は刻々と流れ去る
今年もきっと迷ったあげく
出掛ける決断となるのだろう








