奥会津から
長く細く曲がりくねった峠道を
西へ50Kmほど走ると
大きな湖が見えて来る

途中
逸れることも出来ない
ひたすら走るだけの
長く険しいその道は

対向車もほとんどなく
ひとり2時間ほど 異邦人と化す

時折 出迎えてくれるのは
猿や 鹿や 鳥たち だけで

こんな場所で
故障でもしたら
大変なことになると
わずかに車を気遣う運転となる




絶景はあれど
その不安の中から生還すると
見えて来るはずの賑やかさは一切なく

閉じてしまった土産物店
撤去してしまった観光案内所…と
かつて
そこで見た多く記憶は消え去ってしまった

まさに
錆び付いてしまった銀山平






それでも
開高さんの碑だけは
悠々とそこに建ち
そこだけは
変わらずいてくれる

ただし
そこですら
誰ひとりとなく
独占して写真に収める僕がいる



橋の上から眺めると
わずかな釣り人が糸を垂れるが
どうやら釣果はないらしい

あの頃って場面を
振り返ることが多くなったけれど
ここもまた
あの頃 って場面を振り返りながら
切なくなる

ただし
人が押し寄せることよりも
人影なく な今の方が
本当は良いのかもしれないけれど…

今の銀山平を
今の銀山湖を観たら
開高さんは
なんと口にするのだろうか?

気が付けば
すでに
開高さんの年齢を越してしまった
この身体に
自ら
何かを
言わねばならないけれど
その言葉が 見つからない…