それはやはり
みゆき座だったなあ

ガキの頃
ちょっと大人な
ちょっとエッチな

そんな
背伸びして観た 映画
潜り込んで忍び込んで観た 映画は
みな
みゆき座 だったなあ

そう
中学の頃
突然やって来た ドラゴンで
初めて出掛けた有楽町

そこから
日比谷へ 銀座へ なんて
世界は突然 広くなって

新宿ではなく
池袋でもない
なんとも華やかに見えた
大人な街

有楽町で会いましょう なんて
ナツメロが
まだまだ 聴こえて来そうな時代

斜に構えた仲間たちと
こっそり潜り込んだ R15指定
そう
成人映画ではなく
その直前の 
なんとも初々しいそこは

これから悪戦苦闘するであろう
恋愛の入り口に立つ
年上の女性たちだったわけで

ナタリードロン
ラウラアントネッリ
アニセーアルビナ
シルビアクリステル…






やはり
その後の若さの中では
その悪戦苦闘は長いこと続き
かすり傷は多々あれど
大怪我を負うことなく
良い思い出と化していくわけですな

男は男に生まれるのではなく
多くの流れ弾に当たりながら
男になって行くわけですな

還暦間近
振り返ることが多くなった今日
貴女たちの
表情も仕草も薄れて掛かってはいるけれど
もう1度だけ会いたいと
わずかに願いながら…