或る日
それが嘘だったと気づいても
このままで
騙されたままでいるのもまた良しかと
そう 思える齢になったようだ。。。
35年ほど前
1度だけ
嘘をついた男
永遠のそれを
永遠に 僕に。。。
あの頃の僕は社会へと出たばかり
海で茶色になった髪をバッサリと切り
社会人となって
やっと出来た彼女と楽しかった頃
そんな或る日
つまらん噂が流れて来た
それは
その彼女を紹介してくれた男と
以前から
ステディな仲だったのでは? ってこと
こんな噂が流れてますが
どうなんでしょう? って訊ねてみると
一瞬
顔色が変わったかにも見えたけれども
おいおい
そんなことが
あるはずないだろう? って彼
そうですか
そうですよね って僕
その後
突然
入院してしまった彼
何度も見舞いに出掛けたけれど
面会謝絶で
結局
1度も顔を見ることなく
先立ってしまった
そんな日から
1ヶ月もしない内に
彼女から
そんな病状だったことを聞かされ
もしや
僕ならば
彼女をと。。。ってことまでも
でもその頃には
つまらないイザコザで
すっかり
僕らは心が離れてしまっていたもんで
なんだ
やっぱりか って
ただ
そう思っただけだった。。。
その後
長い長い時間が過ぎて
偶然
ショッピングアーケードですれ違った
その彼女から呼び止められ
元気? って彼女
おお! って僕
今日 用があって実家に戻って来たの
ちょっと時間ある? って言われ
お茶でもと。。。
最後 喧嘩別れのようだったから
言えなかったことがあってと。。。
あの頃は
皆 若かったわね
だから
あれもこれもを
自分の中で処理出来なかったのよね
あなたのことは好きだったけれども
どうしても
彼以上にはなれなかったし
その後も
ならなかったでしょうから
あれが正解 ってことで良い? って微笑んだ彼女
なんで今頃そんなことを? って問うと
次の世にまで
宿題を残したくないじゃない ってまた微笑んだ
今は? って問うと
そうね
幸せよ って言いたいけれども
まあ
2つも バツが付いちゃったからね
でも
もう
孫がいるのよ って笑いながら
ああそうそう
最近また
彼に会いにも行くのよ って。。。
ああ
それは良かった
僕も先月出掛けて来たよ って微笑んで返した

