夕方にもなると
何処からともなく レンタンの匂いが漂って来た

そんな田舎町の
借家街で育ったもんで

朝には 納豆売りが来て
どんぶりを持って買いに出た表通り

昨日は 最愛のばあちゃんの命日だったもんで
夕方 高速で急いだ実家の墓地




あの頃って時間を振り返りながら すでにシャッター通りと化した商店街では

まるで異邦人かの如く
ひとり佇んで
いるはずのないあの頃の方々の姿を目で追った

昭和はすでに
もうこの町にもなく
過ぎ去ってしまった脱け殻の中で
今よりも 確かに良い時代だったと嘆きながらも

取り巻いて下さった方々への感謝と
そこで生まれ育つことが出来た幸運とで
目頭は熱くなって

鋳掛け屋のばあちゃん
だんご屋のおじちゃんおばちゃん
飴屋のおばちゃん
駄菓子屋のばあちゃん
ハンコ屋の
雑貨屋の
クリーニング屋の
パン屋の
魚屋の
鋳物屋の
本屋の
駐在所の
うなぎ屋の
大家の。。。なんて

ひとりひとりの名前をたどり
小声で呼んではみたけれど
笑顔は浮かべど
姿はなく
戻る返事すらもあるはずもない故郷

そんな僕らの時代ですら
すでに軽くなって来た時間

令和という時代が
あの頃のような
楽しい世の中に戻ることを願うと

微笑んだ ばあちゃんの顔が
一瞬 見えたような気もした