15~6年前
地方の車屋から
長年探していた 車を買った

納車の準備が出来たからと連絡を受け
大枚を懐に収め
新幹線に飛び乗り

あ~
そ~いえば
あいつの町だったな~と思いながら。。。

 

 

今朝
お客さま宅へと向かう車のラジオで
懐かしい歌が流れて来て
ひとり
口ずさんだ

隣りの車の彼もまた
その歌に合わせて
同じよ~に歌っていた

いや
お互いガラス越し
聞こえるはずはなく
口の動きから
あ~
歌っちょる 歌っちょると
微笑んだ

♪ 束の間の淋しさを うずめるために
  君の歌声を聞いていた

  狭いホ~ルの壁にもたれて
  キミの動きを追いかけていた

  飛び散る汗と 煙の中に
  あの頃の俺がいた

  オ~オ~ ジョニ~ 君は今
  オ~ ジョニ~ どこにいるのか  ♪


新幹線から在来線に乗り換え
辿り着いた駅は
初めての町で

もしや
あいつは
今もここにいるだろ~か なんて
ちょっと気にしながら


学生の頃
本気でバンドに入れ込んだ時期があった

わずか1年
そこへとすべてを傾けた

もしや
これで食っていけるかも? って
若さゆえ
勘違いした

このオ~ディションがダメだったら
これで終わりや と
皆で決めた

いかしてたあいつの歌は
へたくそな僕らの演奏をカバ~した

しかして
そんな時期は
流行り風邪の如く 冷め

それぞれの歩くべき道へと
誘なった




車を受け取り
さて
目指すは我が家

丸1日掛かるであろうその距離も
なんだか
やっとこさ手に入れた気分で打ち消され
鼻歌まじりに高速の入り口を目指した

すると
おいおい
なんでよ ってなあ~わけで

突然
エンコ

あっちゃあ~

これで整備したのかよ? って苦情の電話を入れ
お迎えの牽引車と共に
平謝りの車屋

確かにそれは
20年も前のアメ車で

まともに動いてくれる方が
不思議かも?

まさかここで
じゃあ~いらねえ~ って
帰っちまうわけにもいかず

大至急
整備するからとのことで
近くの喫茶店で時間つぶし

しかして
すんません
も~1日掛かります って言葉と

1泊しておくんなさいと
用意されたホテル

しゃあ~ね~なあ~と言いながらも
まあ~
たまにはこ~ゆ~のもありか と
その町で遊ぶことに

夕方
近くの居酒屋で飯を食い
軽く飲んで
では と思ったそこで

あれ? って
顔がほころんだ

レジの隣りの壁に
小さいが
見覚えのある名前のポスタ~

あいつはまだ
歌っていた

偶然とは
本当に恐ろしいもので
そのライヴは今夜
それも
このビルの上のライヴハウスで

レジで
そんなことを話し
チケットを取ってもらい

ならば
行かない手はないと
も少し ここで時間を潰し
も少し ここで多めに飲んでからと

あいつとの再会を
楽しみにした

何人もの
そんな連中が数曲づつ歌い
まだかまだかと思いながらも
終わりの方で
と~と~あいつが出て来た

すっかり太った体型と
でも
あの日よりは落ち着いた風貌とが
懐かしさの中で
同じ声を発した


♪  風の噂で聞いたけど
   君はまだ燃えていると  

  オ~オ~ ジョニ~ それだけが
  オ~ ジョニ~ ただ嬉しくて   ♪


手に汗をかき
ドキドキしてたのは 僕の方で
嬉しかった

舞台後
楽屋へと出向き

お~ って
20年ぶりの握手を交わし

まだまだか と口にすると
まだまだや と返した

昔話は
尽きることなく
下の居酒屋へと流れ

オレたちがダメだったのは
おまえのギタ~が下手だったからだと
あいつは言い

とんでもない
おまえの歌が下手だったせいだと
僕は笑った



いつもの生活に戻り
数年
年賀状くらいの付き合いが続いたある日
あいつのカミさんから連絡が入った

心不全だったと

若い頃から
ペ~スメ~カ~が入った身体だった

そんなことを知ってたのは
あいつの家族と
僕だけだったかもしれない

良い季節は
長くは続かない

季節は巡るとゆ~のに。。。


♪ 子供が出来た 今でさえ
  あの頃は 忘れない

  オ~オ~ ジョニ~ 君だけが
  オ~ ジョニ~ 俺の思い出  ♪