ワイナリーだよ全員集合! | 世界の切れっ端

世界の切れっ端

〜ひっそりと生息中@TOKYO〜

ようやくタシケントは40度を超えなくなって、少し涼しく感じる今日この頃・・・

とか言ってる時点で、私の感覚は盛大にぶっ壊れているんでしょうね。

暑さを理由に、高校球児のごとく毎日肝臓トレーニング(いわゆる肝トレ)に励んでおります。

 

***

 

酔っ払いとは世に憚るものでして。

 

かつて8世紀の中国は唐が生んだ大詩人、詩聖と呼ばれるかの杜甫先生に、「この人ってば、皇帝陛下に呼ばれてもベロベロに酔っ払って船にも乗れないんだからぁ!」なんて詩に詠まれちゃった栄誉ある飲兵衛がいらっしゃいますね。

 

まぁ、詩仙・李白先生のことなんですけども。

 

酔っ払って月をつかもうとしたら池に落ちて死んじゃった・・・なんて伝説を作り上げられたほど。

こんな酔っ払い、いないよ。さすが大詩人は格が違うわぁ。。(拝)

 

この李白先生、漢文にあまり馴染みがないという日本人の中でも、教科書に出てくるくらい有名な詩人なので、名前くらいは知ってる人が多いだろう。

酔っ払って池に落ちたのは事実でなくとも、中国文学史を代表する大詩人であることは事実。

とはいえ、この李白、実は外国人だったらしい。

テュルク系(トルコ系)の「西域胡人」だったのでは、と言われている。

 

当時の唐の都・長安の郊外には胡人が経営する酒屋があり、遠くシルクロードを渡ってもたらされた葡萄酒、つまりワインが大人気で、なかなか繁盛していたらしい。

そんな酒屋で、

「砂漠の向こうにはどんなオネーチャンがいるのかなぁ」と思いに耽ってた唐人の酔っ払い、

「明日からまた砂漠越えてソグディアナに帰っぞ!」なんて意気込んでいたソグド人の酔っ払い、

そんな中に「あ〜ん日本が恋しいよう・・・」なんて泣き上戸になってた和人の阿倍仲麻呂も紛れていて、酔っ払い達に慰められていたかもしれない。

飲兵衛同士って、すぐに仲良くなるから。

 

そんな酔っ払いの大詩人・李白先生のふるさと、西域

現在ではイスラームの戒律により飲酒しないムスリムが大半を占める地域が多くなっているものの、紀元前から葡萄酒作りが盛んな地域だ。

特にソ連の影響で(人によるけれど)戒律が比較的緩やかな雰囲気が続いているウズベキスタンでは、素敵なワイナリーが郊外にあったりする。

 

というわけで、また前置きが長くなりましたが、タシケント郊外のワイナリーへ、飲兵衛たちといざ出陣!

 

******

 

今回の試合会場は、uzumfermer

 

 

ホテルも併設する素敵なワイナリー。

 

もちろん、目指すは試飲!←決勝戦

 

昨夜も飲み倒した私には完全に迎え酒となりますが、「酒は飲んでも飲まれるな」という金言を体現すべく、日頃の肝トレの成果を大いに発揮することを誓います(選手宣誓)

 

葡萄畑の隣には、創業者の趣向をたっぷり凝らした庭もあるので、まずそちらから丁寧にガイドしてくれる。

 

↓結婚式も出来る芝生とガイドのお姉さん

 

↓なんと枯山水の庭まである!

 

↓その先には、「月の門」と呼ばれる中国風の庭に繋がる。

酔っ払った李白先生が今にも顔を出しそうな雰囲気。

 

↓さらにその向こうには、上手く撮れなかったけど、古代ギリシア・ローマ風の庭が。

↓見上げるとマスカット!

もう試飲まで待てず、さっきから見つけた実という実は酸っぱいものから甘いものまで、勝手に取って食べ始める飲兵衛御一行。

 

 

 

↓なんか目線を感じると思ったら・・・

 

 

 

なーんだ、ただのマンドリルか。

木によく似てるからわからんかったわ。

 

 

 

いやいや、まだ何か嫌な気配がする。

 

辺りを見渡すと。。

 

 

 

 

えっ。

 

 

 

 

あかん。こんなん、二日酔いも醒めるわ。

 

 

 

さて、いよいよ、庭を抜けて葡萄畑に突入!

 

 

 

 

「甘くて美味しいね!」

とは言うものの、二言目以降は「・・・早く飲みたいよね。。」と、アル中よろしく念仏のようにブツブツ呟く飢えた飲兵衛たち。

 

ガイドのお姉さんも呆れたか、畑は滞在5分もせず、醸造所へ案内してくれた。

 

↓地下にはイタリア製の設備が整っている

 

↓暗室にはワインがずらり

 

 

↓赤・白・ローズ、なんでもござれ

 

↓この真ん中の白ワインが美味しかったな。

 

↓葡萄畑が見渡せる屋上のレストランでようやく試飲

白、白、ローズ(いちご味!)、赤、赤、の5種類を堪能

 

 

試合に集中し過ぎて、試飲中は写真撮るの忘れちゃった笑。

 

 

***

 

「天の原 ふりさけ見れば 春日なる

三笠の山に 出し月かも」

 

阿倍仲麻呂が、見上げる月に奈良の都を想ったと言われている歌。(※諸説あり)

 

親交があった当時の大スター・李白とも酒を酌み交わしたことがあっただろう。募る故郷への寂しさを、飲兵衛たちと楽しい酒で埋めただろうか。

でも祭りの後は、ちょっと寂しくなるよね。

 

一緒にワイナリー試合に繰り出した我が飲兵衛たちは、お土産に私の大好きなでん六のポリッピーを置いて日本に帰って行った。

東京の職場でもよく食べてたなぁ。

 

まん丸い豆に月を重ねて一句。

 

 

「残業時 時計を見れば 腹が鳴る

仕事の山に 食べし豆かも」

 

 

こっちに来てもうすぐ2年。

日本の飲兵衛たち、元気かい。