ニニ・ロッソは、1926年、イタリア北西部のトサン・ミケーレ・モンドヴィで生まれた。本名は、ラファエレ・セレステ・ロッソ。父親がサーカスでトランペットを吹いていた影響で、ニニも早くからトランペットに親しんでいた。
彼は19歳で学業を放りだし、家を出た。ナイトクラブで働きながらトランペッターを目指した。が、そのクラブが警察から営業停止をくらい、ロッソは仕方なく家に帰った。
ミュージシャンとしてのキャリアをまたゼロからはじめ、18歳のときには自分でジャズ・バンドを結成し、クラブなどで演奏していた。
36歳のとき、「夕焼けのトランペット」でレコードデビュー。そのころ発表した「さすらいのマーチ」が、オーケストラにカバーされ、映画に使われてヒット。
39歳のとき、「夜空のトランペット」が世界的に大ヒット。唯一無二のソロトランペッターとなった。
1994年10月、腫瘍のため、没した。68歳だった。
英国の映画俳優デヴィッド・ニーヴンが、筋萎縮性側索硬化症の闘病生活の末、1983年に亡くなったとき、ひっそりと少人数でおこなわれた葬儀に駆けつけ、墓前でソロのトランペットを吹いたのがニニ・ロッソだった。
ニニ・ロッソの「夜空のトランペット」は、トランペットによる絶唱で、心にしみる。聴くと切なく胸に迫って、なぜか泣けてくる不思議な曲である。
コマ落としで進む忙しい現代。
たまにはニニ・ロッソのトランペットソロを、目を閉じて静かに聴く時間をもちたい。
シャンペンにキャビアへの挨拶せわしいパーティーやとんぼ返りのあわただしい海外リゾート旅行でなく、現代の産業社会では、そんな悠然ぽっかりとした時間こそが最高のぜいたくである。(2016年9月19日)
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