ジャン・ベルナール・レオン・フーコーは、1819年、フランスのパリで生まれた。父親は出版業をしていた。からだが弱かったため、学校に通えず、もっぱら家庭教師に学んだジャンは、はじめ医師を目指したが、血を見るのが怖く、また体力がないこともあって、断念し、物理学や光学を学び、科学ライターになった。
教科書や新聞に科学記事を書きながら、フーコーはさまさざまな実験をした。
26歳のとき、太陽表面の詳細な写真撮影にはじめて成功。
30歳のときには、光の測定実験をおこない、光の速度を、秒速31万3000キロメートルと求めた。(現在、光速は真空中で約30万キロメートルとされている)
31歳で、空気中の光は、水中よりも速く進むことを証明。
32歳で「フーコーの振り子」の実験により、地球が自転していることを証明した。
そのほか、鏡面の製作法を考案したり、大きな反射望遠鏡主鏡を製作したりした後、1868年2月、多発性硬化症のため、パリで没した。48歳だった。
哲学者のミシェル・フーコーとはちがう。
「フーコーの振り子」を知っている人は多いかもしれない。
東京の上野にある国立科学博物館は、太古からの化石や動物の剥製から隕石や月の石まである、静かな、とてもすてきなところだけれど、あそこに「フーコーの振り子」がある。
建物の何階ぶんかを打ち抜いた、とても高いところから長いワイヤーで、大きな金属の球が吊り下げられ、その球がすごくゆっくりとしたペースで地上すれすれを振れている。これが「フーコーの振り子」で、ちょっと見にはわからないけれど、その振れる軌道面がわずかずつ回転している。これが地球の自転を示す証拠で、地球が自転しているから、振り子の振動面が自転と逆方向に回転していくのである。
32歳のフーコーは、パリのパンテオンで、長さ67メートルのワイヤーで直径30センチメートルの鉄球を吊り下げて振り子とし、これを揺らせ、その振動面がしだいに回転していくのをこの公開実験によって証明して見せた。
じつは、振動面が回転していくことは、それ以前から知られていたらしい。でも、これが地球の自転の証明になるとは、フーコー以前には誰も気づかなかった。毎日見ているものの意味を気づかぬまま死んでいく人は、限りなく多い。
高校生のとき、物理の授業で振り子の実験をした。精密さを期するため、実験室の窓、カーテンを閉め切って、息をかけないようマスクをしておこなった。振り子の球を揺らせるのにも、指で振らせると、横揺れが起きるので、糸で作った輪に球をひっかけ、糸の先を横の器具に結わえておいて、ぴんと張ったその糸を、ライターの火で焼き切って、振り子をスタートさせた。
そんな実験の思い出もあって、振り子というと、なんだか懐かしい、いい気持ちがする。
(2016年9月18日)
●おすすめの電子書籍!
『大人のための世界偉人物語』(金原義明)
世界の偉人たちの人生を描く伝記読み物。エジソン、野口英世、ヘレン・ケラー、キュリー夫人、リンカーン、オードリー・ヘップバーン、ジョン・レノンなど30人の生きざまを紹介。意外な真実、役立つ知恵が満載。人生に迷ったときの道しるべとして、人生の友人として。
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com
