1月23日・諏訪根自子のヴァイオリン | papirow(ぱぴろう)のブログ

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1月23日は、『パルムの僧院』を書いたスタンダールが生まれた日(1783年)だが、ヴァイオリニスト、諏訪根自子(すわねじこ)の誕生日でもある。

諏訪根自子は、1920年、東京の現在の渋谷区広尾で生まれた。
もともと声楽家志望だった母親の影響もあり、根自子は3歳からヴァイオリンを習いだした。7歳のとき、公爵家の園遊会でヴァイオリン演奏を披露し、10歳のときには、来日したロシアのヴァイオリニスト、エフレム・ジンバリストの前で協奏曲を演奏し、天才少女と呼ばれるようになった。
12歳で最初のリサイタルを開き、ベルギー駐日大使の推薦で、ベルギーに留学。
18歳のとき、諏訪は仏国パリへ移ったが、パリにいるとき、第二次世界大戦がはじまった。諏訪はドイツへ渡り、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演。ナチスの宣伝大臣だったゲッベルスから名器ストラディヴァリウスを贈られた。諏訪は戦中もヨーロッパで演奏活動を続けたが、連合軍の攻撃によってベルリンが落ち、ドイツが降伏すると、諏訪の身柄は米軍によって拘束され、彼女は米国をへて日本へ帰国した。
終戦を25歳で迎えた諏訪は、戦後は国内で演奏活動をおこなった。
40歳のころに引退し、彼女は伝説中の人物となった。
48歳のとき、10歳年上の元外交官、大賀小四郎と結婚。大賀根自子となった。大学でドイツ語教師もした夫・大賀は、彼女が71歳のときに亡くなったが、その後彼女は20年以上生き、2012年3月に没した。92歳だった。
2013年には、彼女が十代なかばの、神童と言われていた当時の演奏録音がCD発売された。

深田祐介が書いた『美貌なれ昭和』という本で、諏訪根自子を知った。戦前、天才少女とうたわれ、ヨーロッパでも演奏し拍手喝采を浴びたヴァイオリニストだが、写真を見ると、その器量のよいこと。以来、「美貌」ということばを聞くと、諏訪根自子を思い浮かべるようになった。

諏訪は、戦争の暗い時代に、世界に飛びだして活躍した東洋の名花だった。後半は、それまでのころの華やかな生活ときっぱり縁を切り、一市井の人として、人生の半分以上を表舞台から縁のないところで過ごした。グレタ・ガルボにちょっと似ているが、諏訪は引退後20年くらい沈黙していた後、60歳前後からふたたびバーハやベートーヴェンの演奏を録音し、リサイタルを開いていて、ガルボのように完全に引きこもっていたわけではない。

美貌と才能。天が二物を与えた典型的な例、それが諏訪根自子である。でも、戦争直前のヨーロッパに渡り、爆撃や市街戦で目茶苦茶になった異国の地で生きぬいた、そんな彼女のたくましささこそ、たたえられるべきかもしれない。

彼女が65歳のころに録音したベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番を聴いた。音色がなめらかで、品がある。彼女は言っている。
「ひとり、音楽のことを考えている時、どうしても、目の前に大きく聳えたっているのは、バッハとベートーヴェンなんですね。一生かかっても克服出来ない。けれども、挑戦していかなければならない音楽だと思っています」
(2016年1月23日)




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