香港で、民主派を排除した選挙方法に抗議する学生たちのバリケードが、香港政府側の実力行使によって排除されました。香港では、2012年に親中派の梁振英が行政長官に就任して以来、民主派への言論弾圧が強まっていて、よその国の人がどうこうできる問題ではありませんが、自分は遠くから香港の人たちのことを心配してきました。
2011年3月11日に起きた東日本大震災があったすぐ後、自分は上海にいました。漢民族の人たちはみんな心温かく、日本のことを心配してくれ、小学生の子どもたちがおこづかいを持ち寄って匿名で日本国総領事館に義援金を寄付してくれるなど、いろいろ援助活動をしてくれていました。上海のテレビでは「今日の放射能天気図」の情報が毎日流されて、放射能汚染について心配していましたが「とんだとばっちりだ」という論調はほとんどなく、日本に対しては同情的でした。
福島原発の事故以来、カナダや米国など北米の西海岸、太平洋岸の地域では、転居して出ていく人がけっこういると聞きます。海流によって放射能汚染水が運ばれてくるのを恐れて逃げだしたのですが、こうした動きについては日本ではあまり報道されません。
国内的に見れば、東北の人たちの力になりたいと思いつつも、対外的には、諸外国に迷惑をかけて申し訳ないという気持ちが自分にはあります。
自分は人間を人種や国境で分けるのでなく、国家と民族とで分けて考えます。
中国共産党も、韓国のセヌリ党も、日本の自由民主党も、自分はどれも信用していません。でも、漢民族も朝鮮民族もどこの民族もみんな好きです。みんな、国家に支配されて苦しんでいる同胞だと思っています。中国や韓国で、そして日本で、自殺があったというニュースを聞くたびに、そこの国家体制や政治を憎く思います。
中国でも韓国でも日本でも、それぞれ度合いは異なるにせよ、一般庶民は支配層に情報操作され、たがいによその民族と憎み合うよう仕向けられていると思います。
「世の中がよくならないのはあいつらのせいだ」
と、敵を示して気をそらす人心操作は、ナチス・ドイツでも米国でも北朝鮮でも、どこの国でもいつの時代にもおこなわれてきた伝統的な政治手法ですが、いまだに通用すると思って世界中で実施されているわけです。
そんな古い手にのって、民族同士が憎み合うのはやめるべきです。島だとか、地下資源だとかでなく、惜しむべき人間の血です。生命です。
いま、戦争へ続く道から引き返すべき最後のチャンスです。政治力の非力を、軍事力でおぎなおうとする稚拙な政治手法は非難されるべきです。ナショナリズム(民族主義)をあおろうとする政治家、政党のことばには、疑問をもって注意深く耳を傾けるべきです。
いまこそ、つぎのゲーテのことばをよくかみしめるときだと思います。
「軍備を整えながら防御を予定する状態に、いかなる国家も堪え得るものではない」(「格言と反省」から『ゲーテ格言集』新潮文庫)
(2014年12月12日)
●おすすめの電子書籍!
『コミュニティー 世界の共同生活体』(金原義明)
ドキュメント。ツイン・オークス、ガナス、ヨーガヴィル、ロス・オルコネスなど、世界各国にある共同生活体「コミュニティー」を実際に訪ねた経験をもとに、その仕組みと生活ぶりを具体的に紹介する海外コミュニティー探訪記。人と人が暮らすとは、どういうことか?
