11月28日・フリードリヒ・エンゲルスの社会主義 | papirow(ぱぴろう)のブログ

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11月28日は、作家・宇野千代が生まれた日(1897年)だが、社会思想家フリードリヒ・エンゲルスの誕生日でもある。

フリードリヒ・エンゲルスは、1820年、現在のドイツ、ヴッパータールで生まれた。父親は紡績工場の共同経営者で、フリードリヒは8人きょうだいのいちばん上だった。
フリードリヒは22歳のとき、父親が英国のマンチェスターにもつ綿工場で働きだした。現地でフリードリヒは都市の工場労働者の貧困ぶりに衝撃を受け、彼らの生活ぶりを調査し『イギリスにおける労働者階級の状態』として出版した。
24歳のころ、カール・マルクスと意気投合し、二人は資本主義を批判する立場から経済学、社会学の研究を勧め、エンゲルスはつねにマルクスを援助し、助言し、励ました。
彼らはヨーロッパ各国の社会主義運動をあおり、共著『共産党主義宣言』を出版したため、フランス、ベルギー、ドイツなどヨーロッパ各国から国外退去命令を受けた。エンゲルスが29歳のころ、二人は英国イングランドへ逃げこんだ。
エンゲルスはマンチェスターで経営者をしながら、ロンドンで研究・執筆を続けるマルクスに仕送りを続けた。それでマルクスは主著『資本論』の第一巻を出版した。
エンゲルスが63歳のとき、マルクスが没した。エンゲルスは残された彼の原稿を整理し『資本論』第二巻、第三巻を出版した後、1895年8月、ロンドンで没した。74歳だった。

エンゲルスの『空想より科学へ』を自分は岩波文庫で読んだ。原題は『ユートピア的社会主義から科学的社会主義へ』で、原題のほうが内容に近いと思う。
この本のなかでエンゲルスは、サン=シモン、フーリエ、オーウェンをとり上げ、彼らをユートピア的な社会主義思想家とし、彼ら先駆者の理論をさらに発展させ、エンゲルスは社会の歴史的発展段階を述べる。彼によれば、もともと内に矛盾を抱えている資本主義がどんどん進むと、矛盾が限界まで拡大する。すると、必然的に労働者階級によるプロレタリア革命が起き、労働者階級が権力を握り、人々は人間として解放される、これが科学的な社会主義である、と。ロシア革命の理論敵根拠である。
たいした論理構築力だと感心した。けれど、どうかな、と首をかしげる部分もある。サン=シモン、フーリエの理論家2人と、実践家だったオーウェンを同列に並べるのもいかがなものか、と。

それに、エンゲルスは、高度資本主義社会における資本家階級は私利私欲をむさぼる鬼のような連中で、労働者階級は聖人君子の集まりのように言うけれど、現実的には、プロレタリアートもいざ権力を握る段になれば、権力をめぐって争い、私利私欲をむさぼる輩が大量に発生して、現場の労働者を酷使しだす。結局、支配者の首がすげかわっただけの元の木阿弥になる、それが現実だと自分は思う。この本はむしろ「ユートピア的社会の実践から机上の空論社会主義へ」ではないか、と。

一般に金持ち、支配層は自分のことしか考えない連中がほとんどで、トリクルダウン理論はケイマン諸島の彼方に消えるというのは悲しい世の常だが、事業家ロバート・オーウェンは例外だった。彼は英国で労働者の生活環境と企業の業績を同時に飛躍的にアップさせ、世界をあっと言わせた。その後、米国で理想郷を目指したコミュニティー「ニュー・ハーモニー」を建設した。現在、コミュニティーは米国だけで2000以上あると言われる。コミュニティーを専門とする自分から見ると、資本主義が進むと、人間疎外が強まり、必然的にこうした人間的なふれあいのある生活の場を求め、コミュニティー(共同生活体)の建設が進む、これが科学的な歴史学だと思う。
(2014年11月28日)




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