9月4日・梶原一騎のスポ根 | papirow(ぱぴろう)のブログ

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9月4日は、語呂合わせから「くしの日」。この日は、作曲家のブルックナーが生まれた日(1824年)だが、マンガ原作者の梶原一騎の誕生日でもある。マンガ「巨人の星」「あしたのジョー」の原作者である。
自分は子どものころ、梶原一騎原作のマンガには、ずいぶんお世話になった。彼が話を書いているとは知らずに読んでいたのだけれど、いまふり返ると、「あれも、これも、みんな梶原一騎作か」と気づいて、ずいぶん影響を受けているとわかる。

梶原一騎は、本名を高森朝樹といい、1936年に東京の浅草で生まれた。父親は出版社の校正者、編集者だった。商業高校を中退した朝樹は、小説家志望だったが、なかなか小説家デビューできず、生活のため、マンガの原作を書きだした。この原作がしだいに好評となり、30歳のとき、「梶原一騎」名義で、マンガ家の川崎のぼるとコンビを組み、野球マンガの「巨人の星」を週刊少年マンガ誌に発表。大ヒット作品となった。
「巨人の星」の連載と同時期に並行するたかちで、同じ少年誌に、マンガ界の巨匠ちばてつやと組み、ボクシングマンガ「あしたのジョー」(原作は「高森朝雄」名義)の連載を開始すると、こちらも大ヒットとなった。
それ以後も、梶原一騎は後世に語り継がれる数々の名作を世に送りだした。
・「夕やけ番長」(マンガ・荘司としお)
・「柔道一直線」(マンガ:永島慎二、斎藤ゆずる)
・「ジャイアント台風」(マンガ・辻なおき、「高森朝雄」名義)
・「タイガーマスク」(マンガ・辻なおき)
・「赤き血のイレブン」(マンガ・園田光慶、深大路昇介)
・「侍ジャイアンツ」(マンガ・井上コオ)
・「空手バカ一代」(マンガ・つのだじろう)
・「愛と誠」(マンガ・ながやす巧)
46歳のとき、マンガ雑誌の編集者に対する暴力事件で逮捕され、同時に、ほかの暴力事件や恐喝事件も明るみに出て、一時、彼の関連出版物が流通しなくなった。
保釈され、拘置所からでてくると、壊死性劇症膵臓炎で倒れた。胆石を放置していたために周辺の内臓が弱り切っている状態だったという。
一度は奇跡の現場復帰を遂げたが、ふたたび倒れ、1987年1月、東京都内の病院で没した。51歳だった。死後、しだいに再評価されるようになった。

「ジャイアント台風」全11巻は、いまでも自分の本棚にある。これはジャイアント馬場の伝記マンガで、ときどき原作者本人が「わたしもパーティーに呼ばれてその場にいたが」などと、マンガのなかに登場する。ちょっと現代にはない種類のマンガである。

ひと口にマンガといっても、SFもの、ラブコメ、ギャグ、ホラーなどなど、いろいろあるけれど、梶原一騎は、いわゆる「スポコンもの(スポーツ根性ドラマ)」「格闘技もの」の方面で独特の世界を構築し、一時代を築いた人である。現代はこうしたまじめなものを、パロディ化して茶化して笑いのタネとするのが主流の時代で、いまとなっては遠い昔のような気がする。なつかしい血と汗と涙の世界。単純に泣いたり感動したりして、素朴ではあったけれど、あれはあれで、いい時代だったなぁ、と思う。
(2013年9月4日)



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梶原一騎、棟方志功、長友祐都、矢沢永吉、シェーンベルク、ツイッギー、アンナ・カリーナ、スプリングスティーン、メリメ、マーク・ボランなど9月誕生30人の人物論。9月生まれの人生論。ブログの元になった、より深く詳しいオリジナル原稿版。

『出版の日本語幻想』(金原義明)
編集者が書いた日本語の本。マンガや雑誌、単行本の編集現場、日本語の特質を浮き彫りにする出版界遍歴物語。「一級編集者日本語検定」付録。


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