オニュ(ONEW)Heize「Don't know you」MV なくしたもの | ariさんは遊んでばっか

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面倒くさいと思いつつ、好奇心は旺盛。
好きなこといっぱい、楽しいこと大好き。

2017年というから、もう7年も前の曲になる。

 

Heizeさんが歌った「Don't know you」のMVにオニュさんが出ていた。

以前からのファンの方はご存じのはずなので、

すでにこれも多くの方によって語り尽くされていることと思うが

あまりに強いインパクトのあるMVだったので、

ariにも今更ながらちょっと語らせて頂ければと思う。

 

まあ、妄想はたっぷりでも、たいして中身はありませんパー。(きっぱり通常運転)

 

それにしても、昔は短い販促用プロモが主流だったらしいが、

今のMVはとても丹念に作られていて、短い映画を見ているようなものも多い。

 

物語仕立てのMVといえば、

マイケル・ジャクソンの「スリラー」(1982)で映画監督によって作られた

長編のショートフィルムがその後の映像作品に大きな影響を与えたと言われている。

確かに当時としては先駆的で画期的なショートフィルムで、

今もこのアルバムは売れ続けているとのことだ。・・・脱線した。

 

「Don't know you」は、Heizeさんの歌はもちろんだが、MVにもひどく心がえぐられた。

以前、このブログに確か山下達郎さんの「Forever mine」のMVについて

書いたことがあって

そちらのMVの終わり方もariには結構ショッキングだったのだが

それでも、少しだけ救われるような気持ちにはなれた。

 

しかし、こちらは・・・・・・どうだろう。

 

 

曲の最初に出てくる大きな文字。

 

「あなたのテディベアを失う14の方法」

 

これは曲のタイトルではない。

 

テディベアはクマのぬいぐるみで、その名前にちゃんと由来はあるものの

もともとそれ以上の意味はなかったようだ。

 

とはいえ、ariも子供の頃、大きなクマのぬいぐるみが欲しかった。

別にこれと言った意味づけはなくても

大きくて柔らかいぬいぐるみは、抱きしめれば無条件で寂しさが和らぎ

安心して眠れ、いつもそばで黙って話を聞いてくれる友達のような

優しい存在だと思っていたからかもしれない。

昔のariは、たぶんちょっとだけ寂しい子供だった気がする。

 

その優しいクマをMVの中で彼女はひどく残忍に傷つける。

時には不機嫌そうに。

時には楽しんででもいるかのように。

 

ぬいぐるみのクマは少し笑ったまま、その表情を変えない。

彼女のそばを離れもしない。

黙ってされるがまま、それに付き合う。

 

最初こそ楽しそうにしていた二人。

一緒に踊ったりもたれかかったりしていたのに

次第に叩いたり、勢いよくカートをぶつけてみたり

でもちょっと抱きしめて、また乱暴にもてあそぶ。

水を浴びせたり、ボールを打ち込んだり

車のトランクに閉じ込めたり。

彼女のクマに対する残忍さはどんどんエスカレートしていく。

 

クマが彼女に贈ったケーキ。

彼女は「I ドキドキ you」のロウソクを吹き消すと

それを目の前のクマの顔に躊躇なく押し当てた。

 

それでもクマは表情を変えない。

彼女に傘を差し掛けながら、クマは雨に濡れている。

それでもクマは表情を変えない。

クマはそこを離れない。

 

はじめて表情が見えたのは、

発煙筒を振り回して奔放に遊ぶ彼女が乗ったショッピングカートを

後ろで押していた時の彼。

嬉しそうな満面の笑顔。

前を向いている彼女には見えていなかった彼。

 

そして。

 

嫌がるクマめがけて、遊びのように何発も花火を打ち込む彼女。

相変わらず逃げもせず、花火鉄砲を身に受けながら立ち尽くすクマ。

彼女はウェディングドレスを着ていた。

 

最後に彼女はドレス姿のまま

最も冷酷な顔をして、ついに火のついたライターをクマの上に。

 

燃えていく。

 

一瞬映った彼女の表情は・・・・。

 

 

 

 

彼女から少し離れた場所に仰向けに倒れていたクマは

やがてゆっくりと起き上がる。

 

それまで表情を見せなかったテディベアは

最後に彼女の表情を伺うように少しだけ振り返り

 

そして

 

下を向いて力なく笑った。

 

何かが燃え尽きた白い煙が立ちこめる中

彼女はゆっくり遠ざかっていく彼の後ろ姿を

頬杖をついたまま見送るのである。

 

YOU LOST.

 

この文字でMVは終わる。

 

 

 

どう考えても、クマが可愛そうだ。

彼女の残酷な仕打ちは、どうみたって限度を遙かに超えていた。

クマはもっと早くに彼女から離れるべきだった。

優しいキミはなにひとつ悪くなかったじゃないか。

初めてこのMVを見たとき、確かにariはそう思った。

なんて悲しい終わり方なんだ!

 

でも、見ているうちに

ariには彼女の気持ちがなんだかわかるような気がした。

 

彼はあまりにも本心を見せなかった。

顔に貼り付いたような笑顔を浮かべ、逆らいもせず徹底的に彼女に合わせた。

それが彼女に対する優しさであり、最善だと思っていた彼は、

惚れた弱みがあったのか、

それともむしろ彼女より少しだけ熱量が足りなかったのか。

 

一体自分の何が彼女をこんなに苛立たせていたのかについて

優しい彼は、ただうろたえるだけで、最後まで考えもしなかったのではないか、と。

 

ariは、思うのだ。

彼女は彼の本当の気持ちが知りたかった。

そして

本気で、真剣に、真正面からぶつかってきて欲しかったのだ。

たとえ怒らせてでも、泣かせてでも。

いっそ傷つけてでも。

 

ウェディングドレスを着て、花火を打ち込んだ彼女。

彼女にとってそれは最後の賭けだったに違いない。

ライターを投げた時、

彼女にはそれがどんな結末を招くのかがわかっていた。

 

去って行く寂しげな背中を見つめながら

彼女は座ったまま動けない。

優しい人を傷つけただけで、結局何も与えられなかった自分への後悔と

別れ際の寂しい笑顔でしか気持ちを伝えてもらえなかった悲しみ。

 

ただ優しいというだけの純真。

それも掛け違えれば、どこか残酷だったりするものなのかもしれない。

 

 

喉の奥がぎゅっとなるほど、終わり方が辛い。

身体から心が抜け出していくみたいに

少し上を向きながら歩いて行くオニュのシルエットが悲しい。

 

 

Heizeさん、オニュさん、素晴らしい演技でした!!

 

ariは、このMVが大好きです!!