うっかり4年間のバカンスと言われる文系大学に入ってしまい、どうにかお金を稼げる人間にならなければ・・・と思った18歳の頃。
普通の子ができることが何一つできず、かといって可愛げもない私はなるだけ庶民的なところで仕事をしようと思って、マクドナルドと喫茶店でバイトをする事にした。
マクドナルドがまだイケイケで、そこで働く人材もかなりキレモノでマネージメント力もある人たちがしのぎを削っているというような刺激的な職場だった。バイトもたかだか700円~800円台の時給なんだけれど、10円の時給の差にプライドやら、妬みなどいろんなものが渦巻く世界があって、ずっと孤立して過ごしてきた自分にとっては非常に居心地が悪くもあり、興味深くもある初めての社会との接点だった。
15歳程年上の店長やらSVやらは、生意気で荒削りで遊び人の私をかわいがってくれて、夜遊びに連れて行ってくれたり、カスタマーサービスの真髄や、人生の作り方みたいなもののヒントを多く話してくれたと思うし、それが今の自分を作っているといっても過言じゃない。
ずっとよくしてくれた店長が私に教えてくれた事が2つ。
1. 3人目の男がいい
2. 夢を聞いた時に答える事ができないような男はダメだ
その影響があったのかもしれない。私は恋が始まるか始まらないかのときに「貴方の夢は何?」と聞くようになっていた。
結婚する前に長く一緒の時間を過ごした相手と出会ったときに同じ質問をした事がある。彼は、
「漫画家」と言った。
頭が異常に良くて、文章は上手だし、絵も上手だったんだけれど、そこはかと漂ういいかげん回答。それに向かってる様子はゼロだし、有名な学校に何年通うんだろ・・・と驚く程のマイペース。
節約の概念は彼にはなく、お金がなくなるとじーちゃんちに行ってお小遣いを貰いに行く、そして彼にお金を貸している友人は帰ってっくるのを待ち構えてお金を回収する・・・そんな魅力的な子だった。帰国子女だし、結構なおぼっちゃまで長い事夢中になってた。天才っているんだなと初めて思った相手でもある。なんだよ、漫画家って。書いてもいねーじゃないか。
その後、彼の同級生の歯科医が高校生の時、彼と将来の夢について語り合ったという話をした。その時、彼は真剣な眼差しで
「蕎麦屋になる」
と言ったとの事。
ちなみに、これについては全く本人の記憶が欠損。
今でも、彼以上にいい加減な人間は少ないんじゃないかと思うんだよね。
私とは全く違うゆっくりとした生き方をして、遅刻魔だったけれど、仕事は自分よりできる気がする。違う時間を歩き始めて10年以上が経ち、前のように一緒に夜通し遊んだりはしないけれど、サラリーマンとしてたぶん優秀な人材として頼られてるんだろうから、なんだか不思議だなと思う。
というわけで、夢を語れる人間がいいかどうかわからんぞ・・・ということが書きたかった。
なんとなく、「夢を持たない人」しかサラリーマンにならないような気がする。もし自分で何かをやりたいと思っていたら自分で会社を興していると思う。彼に夢がなかったのは、私のように時間がなかった訳ではないけれども、あまりにも優秀で普通のレールにのってしまったからだと思う。
私はニッチな世界でしか生きられないので、夜寝て朝起きる生活ができるだけで十分かな。