廊下に彩の足音がする。優は咄嗟に寝たフリをした。彩が足音を忍ばせ部屋に入って来て優の額に手を載せる。

『よかった…熱はないわ』

優の額から手を離そうとした時だ。優に手を取られてベッドに倒れ込んだ。優の吐息を耳元で聞きながら彩は目を閉じた。優の唇が耳から頬を通り彩の唇にキスをした。朝のルーティンだ。

「おはよう」

「おはよう…」

彩は未だ目を閉じたままだ。

「どうしたの?」

「昨夜の優さん素敵だった」

「今朝の俺は素敵じゃないの?同一人物だぜ?」

「だって…優さん乱れてるもの」

彩が悪戯っぽく笑った。

「寝癖か…」

その時だ。キッチンでタイマーが鳴りだした。

「あ、卵…。優さん着替えたら早く来てね」

彩はキッチンへ戻る。優の好きな山吹色の黄身に仕上げる為に彩はタイマーを使っている。