それは親戚宅に集まった正月の食事でのこと。
おいしそうなステーキが出てきて、僕はうまうまと食べる。
ママチュウ、そのあまりのジューシーぶりによだれをじゅるり。
「私も一切れだけ」と、手を伸ばした……。
だがその夜。
「どうしよう……なんてことをしちゃったんだろう」とママチュウ。
「ん? どうかした?」
「あのステーキ、ちょっとレアだったかも。チビチュウ大丈夫かな!?」
困惑。
十分よく焼いていたと思ったけど、ママチュウはとにかく心配性なのだ。
トキソプラズマとかにかかっていやしないか、と。
「大丈夫だって。しかもたったひと切れで、そんな」
と見ると、ママチュウはしくしくと泣いているではないか。
「あんまり美味しそうだったからつい……。パパスケもなんで止めてくれなかったの!」
ついには、僕に牙がむかれた。
でも、これがママの愛情ということなのだなあ。
その後、どうしてもというママチュウの要望で、血液検査をしていたが、
昨日の検診で結果が出て、無事に陰性。
何事もなかったことに感謝しつつ、僕は痛感した。
ママの愛にツッコミは無用。
肉はウェルダン。