⑤の続きです。
夫神はわたしのことが好きらしい。
そう察してから夫神をみてみると、
もうそれはかわいそうなくらいのわかりやすさでした。
わたしの姿が見えると満面の笑みでジョジョポーズ。
話したくて仕方ない。
構いたくて仕方ない。
感情がだだもれの素直なおじさんなので、バレバレでした。
ある日施設の利用者さんから「彼氏いるの?」と聞かれたときにたまたま居合わせた夫神。
じわりとそばににじり寄って聞き耳を立てておりました。
わたしは、「いるよ」と返答。
夫神、かたまる。
わたし、「みんな知ってる人だよ」と、テレビを指さす。
そこには、大人気の芸人さん。
その芸人さんはわたしの脳内彼氏の1人。
大変な紆余曲折を経てようやく結ばれたばかりの脳内彼氏なので、ごまかしたり冗談を言っていたわけではないのですが。
夫神、「なーんだーーー。」とにっこにこの笑顔。
突然会話に入ってきて何を喜んでいるのかはたからみたら不明だろうけれど、
いろいろ察しているわたしからみたらなんともくすぐったい気持ちでした。
そして、そんなわかりやすい対応をされてしまうと、だんだんとその気になってきてしまうわけで。
それまでは脳内彼氏や脳内彼女と妄想でデートしたりイチャイチャしたりするのが楽しい日課だったのに、
頭に夫神がよぎってしまってデートもイチャイチャも楽しくない。
かといって夫神とのお付き合いを妄想してみるものの、
そもそもお姉さんだと思っていたものだからうまいこと妄想できない上に、
今まで付き合ったことがないタイプすぎて予測不可能。
その気になってきてしまうと、「勘違いかも」なんて今さらながらに悩んでしまったり。
だいたいなんで夫神が気になるかって言ったら、
どうやらわたしのことを好きっぽくみえてるからってだけであって、
彼のこういうところを見て好きになったのーというのはない。
しかもわたし、バツイチだし。
もう恋なんてしないって決めたし。
めんどくさいのはいやだし。
親とイヌ看取ったらさよならこの世をする予定だし。
また前の結婚みたいな思いするの、絶対嫌だ。
傷つきたくない。
それに、夫神との関係はただの職場の同僚。
他に接点はまるでなし。
しかも夫神はお局看護師のお気に入り。
個人的なつながりをもった瞬間、職場での安寧が一気に崩れる可能性もあり。
本当にいろんなことを毎日毎日たくさん悩みました。
メンタルオナニーなんて楽しめるような状況ではなくて、
悩みに流されてしまっていました。
気になる気持ちはもう消せない。
だけど、動くに動けない。
そんな状態が1か月程度続いたある日。
ついに連絡先を交換するきっかけが訪れたのです。
続きます。