Q

古文得意な方に聞きたいです。
南ははるかに野の方見やらる
この文の最後の るの識別を教えてください

 

A

これはかなり微妙です
未然形接続の助動詞「る」である事は確かですが、意味は、自発と可能、どちらもあります
一般的には自発です
「南は」とありますので、ここではある地点の四囲の風景を述べている文であると推測します
その文脈ですと、「南に視線を向ける」のは、文意解釈の前提といえます
「(南に視線を向けた時)は、はるか遠くに野(の情景)が自然と目に入る」というほどの意味になり、自発で解釈するのが自然です
可能もあり得るというのは、ある意味特殊な、「ある地点の四囲の見晴らしの良否を述べる」文脈である場合、「(他の方向が見晴らしがきかないのに比べて、)南ははるか遠くに野が見渡せる(良い見晴らしである)」という意味で解釈すべきだろうと思います
一般的には自発ですが、特殊な場合は可能と考えるべきで、ご質問の単文では、いずれか一つに限定することはできません

単文で問う設問なら、自発が正解とされているでしょうが、出典があり、それが特殊な文脈を持つ場合、可能が正解とされている可能性(というか危険性)はあり得ます
いずれにせよ、それはあまり適切な設問とは言えません
質問者に求めたいのは、出典の提示です
長文の中の一部であれば、その長文の作品名など、単文の設問なら、その教材の出版者などです

 

返信Q

【門出したる所は、巡りなどもなくて、かりそめの茅屋の、蔀などもなし。簾かけ、幕などひきたり。南ははるかに野の方見やらる。東西は海近くて、いとおもしろし。】(更級日記「門出」)

これならば、まさに「ある地点の四囲の風景を述べている文」ですから、「(南に視線を向けた時)は、はるか遠くに野(の情景)が自然と目に入る」というほどの意味で、「る」は自発です
単文では決定できませんが、前後の文脈があれば、決定できます