Q

平家物語の木曾最期の「おのれは疾う疾う、女なれば、いづちへも行け。」と言った時の義仲の心境を教えてください。

 

A

「おのれは、疾う疾う、女なれば、いづちへも行け。われは討ち死にせんと思ふなり。もし人手にかからば自害をせんずれば、木曾殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど、いはれん事も、しかるべからず。」
古文における人物の心情を問う問いに対する正解は、必ず本文を根拠にして作成されます
正解の客観性を担保するために、それは問題作成に必須の条件です
上の発話中、その根拠となるのは、「われは討ち死にせんと思ふなり。」です
少し補足します(以下、☆まで飛ばしても結構です)
平家物語のある一本の少し前の本文は以下の通りです
「木曽は、長坂を経て丹波路へとも聞こゆ。竜華越にかかりて、また北国へとも聞こえけり。かかりしかども、今井が行く末のおぼつかなさに、取つて返して、勢多の方へぞ落ち行き給ふ。今井の四郎兼平も、八百余騎にて勢多を固めたりけるが、五十騎ばかりに討ちなされ、旗をば巻かせて持たせつつ、主の行方のおぼつかなさに、都の方へ上る程に、大津の打出の浜にて、木曽殿に行きあひ奉る。」(巻9「木曽の最後」)
この日の義仲は、二つの思いがありました
いったん地方へ落ちのびて再起を図る思いと、今井四郎と再会したいという思いです
後者を優先し、敵の多い瀬田に向かい、今井と会うことができ、後者の思いをまずは叶えました
そして各所で敵に遭遇し、激戦を繰り返し、五騎になった時点で発したのがここの発話です(☆)
この場面で義仲はついに前者の思いを放棄し、自害する覚悟を固めます
そこで巴に「女なれば、いづちへも行け」と言ったのです
その流れを理解すれば、解答は自ずと定まります
【自害することを決意し(、女である巴を最後まで引き連れることは武士にふさわしくないと判断し)た心情】
( )は字数に応じて加除して下さい
巴に対する具体的な心情は本文に書かれておらず、どう答えても根拠のある解答は作文できません
そういう答えを教えたがる人は、頭がよろしくないか、高校における学習を真面目に考えていないか、その両方です
馬鹿げた先行回答が見過ごせませんでしたので、丁寧に回答しました
以上です