Q

河原院で、融の大臣が消えたのは、宇多天皇が高やかに正論を言ったから。ていいですか?

 

A

「宇多天皇が高やかに(→大声で)正論を言ったから」
基本的にはその答えでいいと思います
私なら「宇多天皇が大声で正論を言い、朝威を示したから」と答えます
ここに登場する物の怪は、源融を自称してはいますが、その確証はありません
源融の霊が主君であった宇多院を脅かすというのは道理の通らない話です
物の怪が院や帝を脅かす話はいくつもあり、物の怪を退散させるのは常に神仏の威力か皇位の威力(朝威)です
勅命を受けた武士が退散させるのも結局は朝威を背景にしているからです
この話では宇多院自らが物の怪に朝威を示し、その脅かしを退けています
人の心とは違い、消えた物の怪の内心は誰にも説明はできません
「正論に納得」などというばかげた回答があり、せっかく勉強するのにかえって頭を悪くするのでは気の毒ですので訂正回答をしました
この話が示すのは、物の怪の脅かしに屈せず朝威を示した宇多院の器量です

 

返信Q

ほんとにほんとに納得出来ました。ありがとうございます!!もう一つ質問なのですが、いと異様なり、というのは
大臣の子孫が宇多天皇に与えたのに、大臣が自分の家だから住んでいると言った点、でいいでしょうか?すみません。

 

返信A

表面の意味はそうです
それは源融を自称する物の怪の言葉・論理に対する「いとことやうなり」という解釈です
しかしここで宇多院は、源融を自称する物の怪とその出現自体に対して「いとことやうなり」と言っていると解釈すべきではないかと私は思います
「普天の下王土にあらざるはなく、 率土の浜王臣にあらざるはなし。」という道理を熟知している源融の霊が、宇多院に向かって「所狭く候ふなり。いかが仕るべからん」というような支障を言うはずがありません
宇多院はそれを知っていますから、目の前に現れた物の怪は、源融を自称しているが、おそらくは魑魅魍魎の類であろうと宇多院が疑っての言葉であると解釈するのが私は自然であると思います
院にそう言われてすぐに霊が消えたのは、事実その通りであった事を暗示していると私は読みます
解釈は読者の自由ですが、上に示した解釈は、ごくふつうの、ごく自然な解釈であると私は思っています

 

質問者からのお礼コメント
御二方ともご丁寧にありがとうございました。納得出来ました^^♡