Q

羅生門について
・老婆は悪なのか?
・下人は正義の善人なのか?
意見とその理由を教えて欲しいです。

 

A

・老婆は悪なのか?
悪でいいのではないでしょうか
死人の髪の毛を抜いていますから、やっている行為はふつうに悪でしょう
・下人は正義の善人なのか?
善人ではないでしょう
老婆から着物を強奪していますから、した行為はやはり悪です
但し、下人に正義感に似た心情があったことも認めるべきです
彼の悪を憎む心は語られていますし、老婆の言葉を聞き終えた後に老婆から着物を強奪した行為にも、身勝手な理由で悪を正当化する老婆へ制裁を加えようとする、正義感に似た心情がうかがえます
あくまで正義感に似た心情であり、正義感と言い切れるものではないと思いますが

 

直接の回答でない点を、以下付言します
老婆と下人だけを善悪で考えるのは、実につまらない作業だと思います
ミクロに見れば彼らは悪です
マクロに見た時、この作品は面白くなります
マクロに見るとは、京の町の俯瞰です
最後、下人は階段を駆け下り、その先を語り手は語りません
行き先は闇の中の京です
老婆と下人のやりとりの外側に、大きな世界が闇に沈んでいます
本当に悪い人間は、その闇の中で高いびきで寝ています
今の社会も同じです
神社の賽銭をくすねる、コンビニコーヒーの高い方を飲む、スーパーでパンや弁当を万引きする、数百円単位の盗みで逮捕され実名報道されます
自民党の国会議員がセルフ領収書を発行する、パーティー収入をごまかす、官房機密費を流用する、SMバーやスナックの支払いをする、数百万円単位の不正をしても逮捕されません
「賽銭盗みとパン盗み、悪はどちらか」を考えて面白いですか

 

返信Q

質問に対する回答ありがとうございました。老婆と下人を善悪で考えるのは実につまらない作業とおっしゃいましたが、学校側からの課題であり参考にしたく意見をお聞きしましたすみません。

 

返信A

以下は誤解を防ぐための補足です
お読み頂かなくて構いません
・「課題がつまらない」は今の国語教育に対する批判です
・日本の学校教育全般に言えることですが、国語教育でも、マクロな視点から作品を見る(社会的に見る)ことを教えない特徴(悪い意味)があります
・中学教材の「走れメロス」も、裁判制度や死刑制度、法治と人治、基本的人権は着目させませんし、「王さまばんざい!」で終わる結末の意味も考えさせません
・「羅生門」も、「暇を出されたら飢死か盗人になるしかない下人に暇を出した主人」について、教師は触れなかったのと違いますか
・回答も付言も、同じ質問を教師から与えられて困る学習者すべてのために私は回答しています
・教師が教師用指導書にある劣悪な課題を生徒に与え、生徒は課題の回答だけを求めるような教育・学習の現状に対する無念が、私が回答している動機です
・以上もあなたにではなくこの質問に対する補足です