Q

バグダッドの靴磨きについてです。アフメドは物語の後半で強い後悔をしていますが、どのように行動していれば後悔しなかったのでしょうか。みなさんの考えをお聞きしたいです。

 

A

それは当然、ムニール叔父さんにもっと好意を持って接することです
細かい点まで言えば、連行されていく彼に感謝とか謝罪の言葉を言うことです
そうしたことが彼にできていれば、彼の後悔の度合いはずいぶん軽減されていたはずです
以下、補足です
あなたのこのご質問にある疑問「アフメドはどのように行動していれば後悔せずに済んだか」は、この作品を理解する上で意味のある疑問なのか、私には全く理解できません
かりに少年がそう行動できていたとしても、アフメド少年の家族を失った悲しみや怒り自体は、その強さや深さにおいて何の違いもなかったように思います
さらに言えば、彼のした後悔はすべて、外国軍による侵入と占領という状況の中で生じた後悔、少年にとっては不幸な状況から強いられた後悔、本来ならば味わう必要のなかった後悔です
その不幸な状況に対して、アフメド少年には何の責任もありません
この疑問の枠組は、彼の後悔が彼自身の行動に原因があったということを前提にしています
少年の個々の行動は、確かに誤りを含んでいます
しかし、少年の置かれた状況自体は、誤っています
その状況に責任があるのは世界の側であり、少年ではありません
アフメド少年は、今のパレスチナ・ガザ地区の子どもたちと同じです
彼らが何をいかに後悔しようとも、彼らに責任はありません
違いますか
この疑問の前提は、作品をミクロに見れば正しく、マクロに見れば誤っています
私からすれば、どうしてこんな疑問をあなたがご質問され、お考えになろうとしているのか、私にはその意味が分かりません
はっきり言えば、この作品を正しく理解するためにはおよそ役立たない、場合によってはそれを阻む性質さえ持ちかねない疑問であると思います

 

返信Q

ありがとうございます。学校の課題として出されたものなのですが、私も質問の意図が理解できなかったため助かりました。
質問なのですが、抵抗組織のビラを自宅に持ち帰っていなければアフメドは後悔しなかったと言う考えは間違っているのでしょうか。また物語後半の後悔という部分は母さんの気持ちを思いやることができなかったという部分で間違い無いでしょうか。

 

返信A

かりにアフメドが、母の思いを十分に理解でき、ビラを持ち帰ったりもしない少年だったとしたら、彼は何も後悔することはなかったと、あなたは想像されますか
こんな課題を生徒に与えるあなた方の国語教師は、この作品を理解した上で教えているのではなく、ただ教師用指導書にある問いと解答を生徒に丸投げしているだけのようです
そもそもアフメド少年の味わった後悔は、彼が本来すべき後悔ですか
抵抗ビラを持ち帰った彼の行為を「それは誤った行為だった。お前のせいでムニールが殺された」と非難した人が作品中にいましたか
また、「お前の無理解なふるまいのせいでお母さんは不幸なのだ」とアフメドを責めた人がいましたか
ミクロとマクロ、レベルが異なれば、ある行為のもつ意味や正邪が逆転することは、決して珍しいことではありません

以上で、このやりとりは終わりとさせて頂きます