Q

画像の古文の問題の傍線部イの理由を答えろ、という問題で「一見気遣いをされているようだが、実は体よく帰宅するよう促されているから」と「1人で帰宅できるのに、
自分のことを必要以上に老人扱いしていると感じたから」のどちらが正解ですか?

(本文) 芭蕉翁は五十一にて世を去り給ひ、作文(さくもん)に名を得し難波の西鶴も、五十二にて一期を終り、「見過しにけり末二年」の辞世を残せり。我が虚弱多病なる、それらの年もかぞへこして、今年は五十三の秋も立ちぬ。為頼(ためより)の中納言の、若き人々の逃げかくれければ、「いづくにか身をばよせまし」とよみて歎かれけんも、やや思ひしる身とは成れりけり。
さればうき世に立交らんとすれば、なきが多くも成りゆきて、松も昔の友にはあらず。たまたまー座につらなりて、若き人々にもいやがられじと、心かろく打ちふるまへども、耳うとくなれば咄(はなし)も間違ひ、たとへ聞ゆるささやきも、当時のはやり詞(ことば)をしらねば、それは何事何ゆゑぞと、根問(ねどひ)・葉問(はどひ)をむつかしがりて、枕相撲(まくらずまふ)も拳酒(けんざけ)も、さわぎは次へ遠ざかれば、奥の間に只一人、火燵蒲団(こたつぶとん)の嶋守となりて、「お迎ひがまゐりました」と、とはぬに告ぐる人にも「忝(かたじけな)し」と礼はいヘども、何の忝き事かあらむ。

の最後の「何のかたじけなきことかあらむ」という部分に線が引かれてます

 

 

A

二択であれば
「一見気遣いをされているようだが、実は体よく帰宅するよう促されているから」
が正解です
「1人で帰宅できるのに、自分のことを必要以上に老人扱いしていると感じたから」
は、帰宅能力を問題にしていますが、的外れです
「とはぬに告ぐる人にも」の「も」がポイントです
帰宅能力の問題であれば、「も」は説明がつきません
ほかの人は誰も帰宅能力を問題にはしていません
作者の不満は、帰宅能力を疑われた事ではなく、この座の席の全員からの疎外感です
「どいつもこいつも私を敬遠してこの座から疎外する」の「も」です
「とはぬに告ぐる人」も含めたすべての人に対して作者は「自分を邪魔者にする」と不満感を抱いているのです