Q
「こころ」でKが死ぬ前に私を必要としている理由を学校のプリントで問われているのですがわかる方いらしたら回答よろしくお願いします( i _ i )
A
「死ぬ前」とは具体的に何日前からを指すのでしょう
かりに上野公園をふたりが散歩した(下42)以降とします
「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た理由は、本文に書いてありません
理由以前に「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た事実はあるか、それは何か、確認できていますか
【私はほどなく穏やかな眠りに落ちました。しかし突然私の名を呼ぶ声で眼を覚ましました。見ると、間の襖が二尺ばかり開いて、そこにKの黒い影が立っています。そうして彼の室には宵の通りまだあかりがついているのです。急に世界の変った私は、少しの間口を利く事もできずに、ぼうっとして、その光景を眺めていました。
その時Kはもう寝たのかと聞きました。Kはいつでも遅くまで起きている男でした。私は黒い影法師のようなKに向って、何か用かと聞き返しました。Kは大した用でもない、ただもう寝たか、まだ起きているかと思って、便所へ行ったついでに聞いてみただけだと答えました。Kはランプの灯を背中に受けているので、彼の顔色や眼つきは、全く私には分りませんでした。けれども彼の声は不断よりもかえって落ち付いていたくらいでした。】(下43)
【私はすぐ机の上に置いてある手紙に眼を着けました。それは予期通り私の名宛てになっていました。私は夢中で封を切りました。しかし中には私の予期したような事は何にも書いてありませんでした。(中略)
手紙の内容は簡単でした。そうしてむしろ抽象的でした。自分は薄志弱行で到底行く先の望みがないから、自殺するというだけなのです。それから今まで私に世話になった礼が、ごくあっさりとした文句でその後に付け加えてありました。世話ついでに死後の片付け方も頼みたいという言葉もありました。奥さんに迷惑を掛けて済まんから宜しく詫びをしてくれという句もありました。国元へは私から知らせてもらいたいという依頼もありました。(中略)しかし私のもっとも痛切に感じたのは、最後に墨の余りで書き添えたらしく見える、もっと早く死ぬべきだのになぜ今まで生きていたのだろうという意味の文句でした。】(下48)
「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た事実としては、上に挙げた箇所でしょうか
そこから「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た理由を以下のように作文して見ました
本文に明記されていないことですから、これは正解の一つでしかありません
あなたがたに出題した者(おそらくは使用教科書の教師用指導書)の用意した正解とは異なる可能性はあります
最初に書いたように、「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た事実について確認することなしに、理由を考えています
両者で事実認識が異なれば、理由についての説明も当然変わります
以下は一つの正解です
「Kが死ぬ前に私を必要としてい」た理由
・Kには、遺書を宛てて書く(友)人が必要であったこと(/から)
他に
・Kには、自分の気持ちを伝え言葉を交わし合う人(友)人が必要であったこと(/から)
も考えられますが、これは「死ぬ前」に限ったことではありませんから、上が解答として勝ります
なお、文末は問いの形式に応じていずれかを選んでください