これも猊下のお導き | ぞうの みみこのブログ

ぞうの みみこのブログ

ブログの説明を入力します。

数年前の事、
ジュリアード音楽院付近のスターバックスで、
(いつものように)お茶しながら読書してると、
白人の上品な叔父さまにお声をかけられた。それが、今から
お話しするPさんである。
わたしの来ているTシャツを見て、面白い人かもしれない、と思って、
つい声をかけてみた、とのこと。

わたしはその頃、チベットの旗のデザインの、カラフルなメッセージ
Tシャツをよく着ていた。


チベットシャツ


同じ仏教徒として、彼の国に深く同情し、
わたしがせめてできる事は、と探した結果が、
この美しいTシャツ。オンラインで買って、その収益金はすべて
非暴力の活動に費やされるという。

Pさんは、というと、ヨーロッパ出身の、ある大学の物理学
プロフェッサー。といっても、研究が主で、今は教える方はしていない。
チベットの亡命政府がインドのダラムサラという街にあるのだが、
そこで定期に、世界の科学者を招いて、仏教を科学で
リサーチする会を開いている。それに招かれて、
或る年ダラムサラに行き、ダライ ラマ14世にも
会ったという。
”とても頭の切れる方だよ。”と猊下の印象をPさんいわく。


そのときPさんは、カフェで何をしていたかというと、
自分のラップトップで、お友達の哲学者と哲学について
チャット。(こういうのを ”哲ばな” というのであろうか。)
チラ見させてもらった、セカンドライフという3DCGを使った
仮想世界のチャット用ソフトは、カラフルで、とても面白そうだった。

以来、Pさんが比較的暇なとき、栄誉或る茶飲み友達の一人として、
たまにお声をかけていただいている。
職業柄、研究者とか、自然科学畑の友人、知人が多いので、
そんな世界にはちっとも縁のないわたしのようなど素人と
話すのは、リフレッシュできて楽しいとおっしゃる。
物理と一言でいうが、かなりこまかい分野に分かれており、
Pさんが携わっているのは、あの有名な、アインシュタインが
研究していた事につながるという。

その方面に
好奇心だけはあるのだが、知性に問題のある私には、
たとえどんなにPさんが噛み砕いて
わかりやすく説明してくれても、ちっとも理解できないであろう。
(わたしのその知性については、”十を聞いて一を知る、”という
格言で要約できます。じっさいは、”百を聞いて一を知る”だったりして。)

といっても、Pさんは、研究で頻繁に、ヨーロッパや日本に行ってるので、
そうしょっちゅう、お茶もできないのだが。

先日久々にお会いしたとき、Pさんは、
”いやー、みみこさんが、あのとき、あのTシャツを着てなかったら、
声をかけてなかったよ。こうやって会えたのもダライラマ猊下の
おかげだねー。” と言っていた。

”でも、状況はあのときより悪化してるみたいですねー。”
というと、しばらく二人して沈黙してしまった。

しかし、その後は、同じよそ者同士、アメリカ文化に関するギャグなどで、
盛り上がった。

Pさんは、母国語に加え、4~5カ国語に堪能で、
日本語もそのうちのひとつ。わたしらの会話も自然と日本語になる。
でも、特に習ったり、学校に行ったりした訳ではない、独学だ。

お国なまりはあるけれど、豊富な語彙で、自然な日本語をはなす。
ヨーロッパへの行き帰りのときの長いフライトの間は、
日本語で書かれた”般若心経”の本を読む、と言っていた。

おそらく、地頭がいいのだろう。でも、知ったかぶりな所や、
聞かれもしないのにうんちくを傾ける事もなく、
いつもゆったりして、たたずまいに余裕が感じられる。
本当に頭のいい人はこんな感じかもしれない。

地頭にはあまり恵まれてないが、出来る範囲で、
わたしも研鑽を積まなければ。