自分自身の覚書のつもりで始めたこのシリーズ。
地味でマニアックだなあ、といつも思うのですが、私自身は、毎回、新しい発見に結構ワクワクしながら書いています。
中国の中国語(普通話)にたくさんあって、台湾の中国語(華語)に少ないものの代表と言えば「そり舌」と「軽声」。だから、これが逆になっているものを見つけると大手柄のような気になります。(誰も誉めてくれないけど・・・)
過去記事:「台湾華語と中国普通話の違い:こんなパターンもある!」台湾華語と中国普通話の違い:まるごと」
今日は、「玉米(トウモロコシ)」と「山藥/山药(ヤマイモ)」。スーパーのチラシの日中対照用語集を作っていて見つけたものです。
どちらも、台湾華語の辞書では軽声になっているのに、普通話ではそうなってはいません(“山药”の“药”方は、四声と軽声と2種類書かれている辞書もある)。台湾人の同僚にも発音してもらいましたが、軽声なのかどうかよくわかりません。(意識させてしまったので。今度こっそり普通の会話に紛れ込ませて聞いてみます。)
こういう現象について、台湾で辞書を作る人たちの思考過程を想像してみると、政治的な意図や地元愛のようなものを感じてしまいます。つまり、台湾で実際にそう発音しているわけではないけど、北京語では「こうあるべき」が過剰に反映されたのではないか、という事です(事実かどうかはわかりませんが)。
でも、こんなマニアックな違いに気づくのも、中国語では音の高低変化が「声調記号」ではっきり記されているから。「雨、飴」「箸、橋」「牡蠣、柿」ような言葉の音の上がり下がりを、どうするのが「正しい」のか、一般的には書かない日本語では、地方によってそれがバラバラでも見えにくいのです。(日本語を学ぶ外国人にとってはかなり大変!)
台湾の言葉の問題を、喩えて言うならば、明治維新の頃に、会津と長州と土佐と薩摩の言葉のうち、どれを日本語の標準語にするのか、とモメるようなものなのかもしれません。
ひとつの国の言葉が統一されているのは、決して当たり前ではない。もし、それが統一されているように見えるとしたら、そこには、とてつもなく大きな国家権力が働いているのだろうと思います