フィレンツェ5月音楽祭 | ヨーロッパの音楽祭

ヨーロッパの音楽祭

クラシック音楽(特にドイツ・オーストリア系)が大好きです。
ヨーロッパの各地で開催されている音楽祭について自分が見てきたところを中心に思うところを書きます。観光のヒントもつけます。

- 花の女神フローラの街の音楽祭 -

フィレンツェ(イタリア語:Firenze)は、イタリア共和国の中部に位置する人口38万人の都市でトスカーナ州の州都である。地名の由来は古代ローマ時代に花の女神フローラからきており、周りを美しい丘陵に囲まれた美しい街である。アルノ川が流れる歴史地区と呼ばれる地域は、美しい街並みと古代からの建築物で知られ、1982年にユネスコの世界遺産に登録されている。

<ミケランジェロ広場から見たフィレンツェ歴史地区>


中世からルネサンス期にかけてヨーロッパ文化・芸術、そして金融の中心地であり、当時は世界で最も裕福な都市のひとつであった。特に15世紀前後はヨーロッパ歴史上重要な役割を果たした貴族であり銀行家のメディチ家の庇護を受けたボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらによるイタリア・ルネサンスが開花した。メディチ家歴代のアートコレクションを収蔵するウフィツィ美術館は今もフィレンツェ観光のハイライトのひとうであり、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やダ・ヴィンチの「受胎告知」を目当てに訪れる人の足が絶えることはい。

<ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」>


イタリアには首都のローマはもとより、水の都ヴェネツィア、ファッションとオペラの街ミラノなど観光客に人気の街はいくつもあるが、どれかひとつといわれれば筆者は迷わずフィレンツェを選ぶ。ヨーロッパ中に教会多しといえど唯一無二といえるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂やアルノ川にかかるヴェッキオ橋(ポンテ・ヴェッキオ)など、独特の風情をもつ建物が多い。歩いているだけで楽しくなる街はここフィレンツェだ。

そして花の女神フローラの街で開催される音楽祭がフィレンツェ5月音楽祭である。地中海性気候のフィレンツェの5月は春が訪れ、気温と天候の安定しもっとも過ごしやすい時期となる。

この音楽祭は、指揮者のヴィットリオ・グイ(1885-1975)が1933年に創設し、その後はリッカルド・ムーティ、ズービン・メータなどが音楽監督として発展させ、現在はダニエレ・ガッティが中心的役割を担っている。上演はコムナーレ劇場を中心になされる。

私がこの音楽祭を訪れたのは2013年だったが、日中は過ごしやすい気候のもと街を散策し、ウフィツィ美術館やピッティ宮殿でルネサンス芸術を堪能、そしてランチにはビステッカと呼ばれる炭火で焼いたTボーンステーキで腹いっぱいになった。そして夜は音楽祭でズービン・メータがフィレンツェ5月音楽祭管弦楽団を指揮するストラヴィンスキーの「春の祭典」の素晴らしい演奏を楽しむことができ、忘れがたい一日であった。

2024年のフィレンツェ5月音楽祭はトーゥランドットやトスカなどのオペラに加え、ムーティ指揮でのウィーンフィルのコンサートが予定されている。最高の季節のフィレンツェで最高の音楽に浸る贅沢な時間は何もにも代えがたい。

<公式サイト>
https://www.maggiofiorentino.com/en (イタリア語/英語) 

<アクセス>
・ローマからフィレンツェまで鉄道で約1時間30分。

<一言メモ>
・フィレンツェは見所が多いので少なくとも2泊3日以上は滞在したい。
・景色を見るならなんといってもミケランジェロ広場、そして「ジョットの鐘楼」。数々の美術館や博物館はいうまでもないが、歴史地区の路地を歩くだけでも独特の風情を感じることができる。
・フィレンツェ観光の予習は映画がオススメ。ダ・ヴィンチコードシリーズの「インフェルノ」、ジェームズ・アイボリー監督の映像美を堪能できる「眺めのいい部屋」など。

 


<ジョットの鐘楼から見たドゥーモ>