「(日本の)民衆が火の中に連れ込まれることになる」呉江浩駐日大使発言考 | 加納有輝彦

「(日本の)民衆が火の中に連れ込まれることになる」呉江浩駐日大使発言考

「(日本の)民衆が火の中に連れ込まれることになる」

今年、5月20日、鳩山由紀夫元首相、そして元外務関係者等十数名が、中国大使館を訪問した。

 その場で呉江浩(ごこうこう)駐日大使は、日本が「台湾独立」や「中国分裂」に加担すれば「民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言した。

 

 この発言に対して、座談会に出席していた鳩山由紀夫元首相が、「基本的に同意する」と述べた。

 

ひらたく言えば、日本は「一つの中国」を刺激するような事は金輪際いたしません、ということだ。とりわけ台湾を独立した国家であるなんて口が裂けても申しませんと。

 

 50年前、石原慎太郎、中川一郎、ミッチー、ハマコー等の自民党若手議員が血盟で結成した青嵐会は、「一つの中国」を激しく刺激した。

 

 すなわち、反田中角栄の文脈の中で、田中政権が推進する「日中国交樹立」に伴う「台湾断交」に断固反対した。蒋介石の恩を忘れるな!と。

 

 当時、青嵐会の動きに対して、人民日報は嫌悪感を露わにした。

以下、当時の人民日報の記事の一部である。

 

~われわれは「青嵐会」の一つまみのファッショ分子(少数派政治集団)に厳しく警告する。中国人民は必ず台湾を解放する。君たちがわが国の台湾省をかすめ取ろうとしてどんな策謀をめぐらしたところで、全て無駄、骨折りである。~

 

 現在と全く変わらないスタンスである。

 

この5月の「民衆が火の中に連れ込まれることになる」の発言以降起こったこと確認したい。

 

〇6月末、蘇州で日本人学校のスクールバスが、刃物を持った男に襲われ、日本人の親子などがけがをした。

 

〇8月、中国人による靖国神社の落書き

 

〇NHK国際放送で、中国人アナウンサーが不適切発言(ずっと真面目にやっていた中国人が突然)

 

〇8・26 中国軍機が、長崎県沖の領海上空を侵犯。中国軍機による日本の領空侵犯が確認されたのは初めて。

 

〇9月18日、シンセンで登校中の日本人の子供ナイフで刺され殺される。

※9月18日は、柳条湖(りゅうじょうこ)事件(国辱の日)。日本の中国への侵略戦争の発端となった謀略事件として、反日運動が盛り上がる日である。

 

 この一連の動きは、8月末、自民党の総裁選が始まりつつある時期、中国からの恫喝と見ることも可能ではないか。

 

つまり、

「次期自民総裁に対して、わかってるな。一つの中国を否定するような動き(台湾有事は日本有事)を見せたら、元安倍首相のように、御陀仏になるぞ。」みたいな。

 

 実際、自民党の幹部は、これに近い恐怖を感じていると元自民国会議員の証言をネットで聞いたことがある。

 

 なるほど岸田政権は、「命乞い外交」に見えなくもなかった。対中のみならず対米従属もLGBT法の突然の法制化を見ての通り、隷属化が極まった。もともと日本国民としての政治的誇りはなかったが、地に落ちた感がある。

 

 さて、そんな時期、幸福実現党江夏幹事長は、台湾立法院にて、台湾教授協会主催で、「台湾関係法幸福実現党試案」を記者発表したのである。

「日本が台湾を一方的に断絶したことは“武士道”からみて間違った行為であった。今後の日本外交は、台湾と国交回復、同盟関係の樹立という方向に踏み出すべきだと考えている」

「日本と台湾は、なんら法律的根拠もなく民間交流で成り立っている脆弱な関係であるため、まずは台湾関係法試案を策定したい」と述べました。

 

 中国の覇権主義に対し、日台米のトライアングルで、真っ向防衛ラインを構築しようとするものである。

 

 現在、連日、自民党総裁選で、電波ジャックしている自民党次期総裁候補の面々、誰一人として口が裂けてもいえない内容であろう。高石早苗氏も例外ではなかろう。

 

 これは、信仰者(宗教政党)ゆえに発信できる内容である。

悪魔の顔色を伺って遠慮し、神の正義(自由・民主・信仰)をないがしろにすることは神の子人間の良心が許さないのである。台湾教授協会の度量にも感銘を受けるものである。

 やや物騒な響きを与えたかもしれないが、実際、幸福実現党が喚起したいことは、国会が議論すべき事を見ないふりして頬かむりしないで、正々堂々と議論すべきであると、国会内外の議論を喚起しているのである。

 

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 議論すべき内容とは、例えば、昨年四月、立憲民主の原口一博氏が岸田政権に提出した「いわゆる一つの中国と台湾有事に関する質問主意書」の問答に政府の「議論から逃げる姿勢」がよく表れている。

 

 

原口議員は、政府に質問した。

一 中華人民共和国政府が自らの立場について表明し、これに対し日本政府が「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」と述べた日中共同声明は、台湾が中国の領土の不可分の一部であるという、いわゆる「一つの中国」を日本政府が認めたものであるとの認識は正しいか。正しくないのであれば、日本政府が「一つの中国」を認めない理由は何か。

 

政府の答弁 ( )は筆者が記述

台湾に関する我が国政府の立場は、昭和四十七年の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明第三項にあるとおり、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」との中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するというものである。(日本政府は台湾を国家として認めない)

 

原口議員の質問

二 中華人民共和国が台湾に対し武力の行使を行った場合、政府は、それが内戦、国際紛争のいずれに該当すると認識しているか。

 

政府の答弁

仮定に基づくお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場である。

(武力行使を行った場合と質問しているのに、対話により平和的に解決されたいという他人事、お花畑答弁。つまり内戦という認識である。)

 

 

原口議員の質問

三 台湾と中華人民共和国の間の武力紛争に米国が参戦する場合、その行動の国際法上の根拠は何か。集団的自衛権か、個別的自衛権か。

 なお、米国の台湾関係法は国際法上の合法性の根拠にならないと考えるが、この点についても答弁されたい。

 

政府の答弁

仮定に基づくお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
(米国議会が制定した国内法『台湾関係法』の解釈を避けている)

 

 

原口議員の質問

四 一般に、日本有事という場合、武力攻撃事態、存立危機事態、重要影響事態などの事態がこれに該当すると考えられる。事態の認定は様々な状況を踏まえて個別具体的になされるものと思われるが、岸田政権は、台湾有事が日本有事となる可能性があると認識しているか。

 

政府の答弁
お尋ねの「台湾有事」及び「日本有事」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、いかなる事態が武力攻撃事態、存立危機事態又は重要影響事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府がその持ち得る全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することとなるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

(この答弁では、泥縄式、「泥棒を捕らえて縄を綯う」、判断不能、無能政権に成り下がるのが見えている。)


 さて、最後に、台湾関係法幸福実現党試案の第6条を明記しておきます。

幸福実現党が、国会内外での議論を喚起したい理由が、お分かりいただけると思います。

 

【安全保障の連携強化】

第六条 日本政府は、台湾有事は日本の存立危機事態(武力攻撃事態等及び存立危機事態にお

ける我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十

九号)第二条第四号に規定する存立危機事態をいう。)であると認める。
 

2 日本政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約における「極東」と

は、台湾地域も含まれるとの認識のもと、アメリカと連係して台湾海峡及びその周辺の防衛にあたる。
 

3 日本政府は、台湾の安全保障に関する協力体制を強化し、インド太平洋地域の平和と繁栄を実

現するために必要があると認めるときは、自衛隊を含む政府機関が情報提供及び人材交流等を行

うことができるものとする。

 

 

                                                                                                  

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