阿呆な私 | 加納有輝彦

阿呆な私

 先月の桜の討論で、評論家の西村幸祐氏が、1937年パリ万博の坂倉準三(1901~1969)設計の日本館(パリ万博パビリオンコンクールでグランプリ)に言及された。

 



坂倉準三氏が、岐阜県羽島市にある銘酒「千代菊」坂倉酒造の四男として生まれた方であることを思い出し、ついでに、私が日本酒業界にいた当時、岐阜県酒造組合理事長をしておられた同じく「千代菊」の十五代当主坂倉又吉氏(1919~?)の事を思い出した。
十五代当主又吉氏は、おそらく建築家の準三氏の甥っ子になると思われる。つまり準三氏の兄が、十四代当主であったと思われる。

 さて、十五代当主坂倉又吉氏は、エッセイストでもあった。
当時私は、同じ業界にいたゆえ、又吉氏の著作「酒おもしろ語典」を購入していた。
この本は、1986年の第5回「日本雑学大賞ブック賞」(現雑学出版賞)を受賞している。
ただ、数ページを少し読んだ程度で、実質、積読書となって、後年結局、古本屋に売却してしまった。

 ところが、西村幸祐氏の発言をきっかけとして、著書を「昔心を寄せた女性」に喩えるならまさに、焼けぼっくいに火がついてしまった。(笑)

 また、古本屋で購入したのである。馬鹿な私。



さて、
坂倉準三氏設計のパリ万博日本館は、師ル・コルビジェの影響が明瞭にありながらも、日本的と欧州の人を唸らせた繊細な美しさがある。また又吉氏の文章は、洒脱で上品である。

それに引き替え、
 パンデミックの最中行われた東京オリンピックの開会式の変な踊りで選手を迎えたスタッフの貫頭衣のような囚人服のような奇妙なデザイン(頭にタケコプター)、そして、今度の大阪万博のあの気味わるい公式キャラ「ミャクミャク」のデザイン、工期が間に合わずおそらくはプレハブ建築に収まるであろう各国のパビリオン・・・。

 



 この意匠における「堕落」は何なんだろう。
現代日本、真善美、諸共堕落しているのだろうか。

そんな文脈から、洒脱な坂倉又吉氏の著作を、復縁して、また読みたくなったのである。

 先日、仕事で羽島市を訪れたついでに、蔵元千代菊を訪れたが、休みだった。街は土曜日だというのにひっそりとしていた。

 

 

 

 

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