前回のバブルは「ビールの泡」、今回がバブルだったとしたら、そのバブルは「ホイップの泡」? | 加納有輝彦

前回のバブルは「ビールの泡」、今回がバブルだったとしたら、そのバブルは「ホイップの泡」?

◇前回のバブルは「ビールの泡」、今回がバブルだったとしたら、そのバブルは「ホイップの泡」?前回は「泡」の下にはビールがあったが・・・。

 

日経平均株価(225銘柄平均)史上最高値更新のニュースで報道は大盛り上がり。

 

1989.12.29日経平均3万8915円、

2024.02.22日経平均3万9098円、34年ぶりに最高値突破!!!

 

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34年ぶりのマスコミの高揚感に水をさすようで申し訳ないが、

私的には、全く実感がない、というかどこの国の話?って感じ。(笑)

 

さて、一部テレビで映し出される証券マンの満面の笑み、喜ぶ顔は、確かに1989年当時と同じようにも見える。

 いずれにせよ、一部の国民、業界人の間には、大変な高揚感、熱狂があるのは事実。

 

さて、金融リテラシーのない素人の私が、こうした時に頼りにしているのが、金融・経済・資産運用評論家の近藤駿介氏である。

 近藤氏は、90年のバブル崩壊も、2000年のITバブルも、リーマンショックも全て投資家として内側で経験しておられる。FBでこのように仰っておられる。

 

○当時(1989)と大きく違う点は、前回のバブル期には国民殆ど全てがあらゆる事象をポジティブに捉えていたのに対して、今回は市場関係者や株式投資を始めようとしている人達が異様に盛り上がる一方、そうでない人達が冷ややかな目で株価上昇を見つめていること。

 

○その違いは、前回はバブルが崩壊した90年度ですら実質GDPが5.1%成長していたのに対して、今回は2023年10-12月期の実質GD(1次速報値)前期比-0.1%、前期比年率-0.4%と予想外に下振れ、2四半期連続でのマイナス成長を記録する中でのバブル期以来の株高である点。

 

○足下の株価上昇は企業業績やPERなどから見て「裏付けのあるもの」だと強調されているが、GDPという観点からみると、前回のバブルが「ビールの泡」だったのに対して、今回がバブルだったとしたら、そのバブルは「ホイップの泡」だとも言える。

90年前後には「泡」の下にはビールがあったが…(はたして今回は?)。


 また、近藤氏は、「WORLD MARKETZ」に出演され、非常に含蓄のあるお話しをされた。

(【GUEST TALK】近藤駿介さん/Anotherstage "WMZ" Wednesday, 21 FEB 2024/stockvoice)
 

 

 日経平均最高値、1989年と2024年の今を比べることは、まるで、ライオンと藤井 聡太どっちが強い? と問うているようで、本来比べられないもののように感じるという。

 

 当時の日本は、70年代の2回のオイルショックも乗り越え、プラザ合意による円高ショックも乗り越え、アメリカの背中が見えるところまできた、大関に昇進したような自信があった。今は、違う。

 

 また当時は、「日産シーマ現象」のような若者に旺盛な物欲があった。今の若者は車に興味はない。“物欲”がない。物欲のない世代の株価史上最高値、これ如何に?

 

 当時は、国民の半分に『中産階級』の意識があった。現在、自分は中産階級と思える人は、2割程度。半減してしまった。


 近藤氏が指摘しておられるように、現在、多くの人達が冷ややかな目で株価上昇を見つめている。

 

 ようは、熱狂報道にあまり浮かれないようにということ。

 

特に、以下の近藤氏の指摘に感銘を受けた。

 

~日本はストックで勝負するしかない。フローで勝負できない。いま、そのストックを狙われている。ここが将来に向けて気になるところ。自社株買いで株価は上がるけど、将来の投資をどこでしているの?~

 

★9~10兆円規模の自社株買いは確かに、株価の下支えになっている。

これは、お金を持っていても投資先がない、自社では投資してもリターンがないから株主におカネを返しているということ。

これが持続可能が株価の上昇につながるのか。将来に向けての投資をしていない。俗にいうアクティビストといわれる人たちから配当を増やせとか、株主還元として自社株買いをやれとか、そういう圧力を受けているとしたら、おカネを吸い上げられている、単純に言うとそういうこと。
 言葉が悪いが「カツアゲ」されているよなもの。金融取引としてはアクティビスト・ファンドとして儲かるかもしれないが、彼らが儲けたお金って、成長投資に資金が回るんですか?彼らは、次のターゲットを決めて同じことをやる。成長資金がどうなっちゃった?

★本来の株式上場の意味は、成長資金を取り込むためなのに、今や持ち過ぎた資金を、使いきらないおカネを還元する場になっちゃっている。
 どうやって成長するのかって言った時に、例えば国内に工場を作った時に出る補助金とか、結局、税金で成長しようとしているみたいな。これって健全なのかな?持続可能なのかな?これは感じてしまう。なんとなく居心地が悪い。単純に喜べない複雑な心境。

 

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 確かに私の知人の商売も、昨年來、大繁盛。理由は、補助金である。なんと取引の半分くらい補助金が出るという。まさに近藤氏のいう「税金による成長」だ。とても持続可能とは思えない。

 

GDPがマイナス成長における日経平均史上最高値。
GDPの6割を占める個人消費は、物価上昇で苦しんでいる。

同時に増税で国民負担は増えるばかり。

 

 当初、総裁選で「所得倍増」をぶち上げた岸田総理。

その舌の根の乾かぬ内にというか、知らないうちに「資産所得倍増」に変わっていた。

 

 そして「新NISA」で、外資も流れ込み株価も上昇。

 

 日経平均史上最高値が、岸田首相の「所得倍増」から「資産所得倍増」への嘘の流れを、華麗なる豹変?とさせるのか、否か。浮かれないように見届けよう。

 

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