『伐畑騒擾記(きりばたそうじょうき)』中川静子著 | 加納有輝彦

『伐畑騒擾記(きりばたそうじょうき)』中川静子著

『伐畑騒擾記(きりばたそうじょうき)』 中川静子著

大川隆法総裁先生のご尊父、善川三朗名誉顧問の姉、中川静子さんの未発表原稿が近年発見され、所有者のご厚意で、当会から発刊される運びとなったという。

ということで、さっそく埼玉への道中、新幹線車内で読んだ。

中川静子さんは、大正8年生まれ(1919-1994)、私の父(1919-1983)と同年なので、どういった時代に生きた方か、一般論として肌感覚?で理解できる。

青春時代は、すべて戦争であった。


 実は、今年、大正8年生まれの法友の大先輩が、102歳の長寿を全うされ帰天された。元気に床に就き、そのまま・・・まさに大往生。父と同年の方だったので、その長命で元気なことにいつも驚いていた。


 「徳島ゆかりの文学者」というページで、中川静子さんの説明があった。(肖像写真も同ページからお借りしました。)

~麻植郡東山村(現・吉野川市川島町)に生まれる。歴史小説「幽囚転転」と現代小説「白い横顔」が立て続けに直木賞候補になった。
幼い頃に父を亡くし、小学校を出ると子守奉公に出されるなど、実生活での苦労が作品ににじんでいる。
「阿波に生まれて、藍を書かなければ死んでも死にきれない」と最晩年に入退院を繰り返しながら書いた「藍師の家」は、記念碑的な作品となった。代表作は、「幽囚転転」「小少将」;「鬼にもあらで」「藍師の家」~

※「藍師の家」は、中川静子さんが原稿用紙450枚まで書きすすめた段階で病に倒れ、「死んだあと未完のままでもいいからなんとか本にしてください」と友人に託された。しかし、その後、入退院を繰り返しながらも、残りの70枚を書き上げて完成した。

 『伐畑騒擾記』
舞台は江戸時代中期、ゆえに文章中、漢字が多い。

しかし、中川さんの文章は、文体は、人物描写、心理描写が、実に味があり、まるで白黒映画を観ているような錯覚を覚えるくらい、活き活きと「動きだす」のであった。

 私はあまり小説を読んできていないので、生意気なことは言えないが、島崎藤村の夜明け前に出てくる人物も、江戸時代末期の当時の言葉をしゃべるのだが、同じ味わいを感じた。

最後、無名の百姓の青年の「血気、決起」に、なぜか子路の勇敢な最期を連想した。

子路といえば・・・。

 それにしても、中川静子さんは、徳島の郷土作家として歴史に名を刻まれた。

ないものねだりだが、中川さんに「岐阜県の郡上で起きた『宝暦騒動』を書いて頂きたかった・・・と真剣に思った。

 残念ながら、中川さんの代表作は、岐阜県の図書館の蔵書にはない。

 徳島県の方、古本屋等での中川さんの作品、情報あれば、ぜひ教えて頂きたいです。

 

 

 

 

 

 

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