YouTubeすら観ない小学生?TikTokの15秒のみ??・・・ある映画評論家の嘆き | 加納有輝彦

YouTubeすら観ない小学生?TikTokの15秒のみ??・・・ある映画評論家の嘆き

YouTubeすら観ない小学生?TikTokの15秒のみ??・・・ある映画評論家の嘆き

 この前、何の番組だったか忘れたが、若者がテレビ・ドラマを録画して観るのだが、ほとんど早送りして観ていると。クライマックスのみ通常の速度に戻して観ると言っていた。
 
 その場に同席していた俳優が、演技の「間」とか、そういう俳優の努力が、早送りでは無意味になってしまう。哀し過ぎると漏らしていたが、現代は、早送り再生鑑賞が日常なのかもしれない。

 さて、現代の映画業界のお寒い現状を、ある映画評論家が語った。

チャンネル桜の討論(日本の黄昏―陽はまた昇るか?)で、映画評論家の前田有一氏が、危機的映画界の状況を語った。
興味深かったので、メモしておきたい。

前田氏
映画業界は、激変に晒されている。
そもそも映画館へ行って観るという前提も崩れている。配信の時代に入っている。

かつては、映画評論家は、試写会に参加していたのだが、今は、全然行かない。
すべてオンライン。

日本だけでなくアメリカが一番変わっている。配信会社が強くなり、旧来のメジャーがどんどんパイを奪われている。

その変化が、いい方向に変化しているとは、言い切れない。
特にアメリカはヤバい。旧来の映画会社が、どんどんアマゾンなどに買収されている。業態自体も変わった。

★水島氏の質問「いま、芸術的な映画というものは生まれていますか?」

前田氏
 日本は、完全に二極化している。
メジャーの会社の映画と、それ以外の映画というのが、どんどん距離が空いてしまって、真ん中が全くない状態。

制作費の面でも、内容の面でも。

アート的な映画というのは、残念ながら下の方の人たちが、ちょこちょこ作っていて、これがまたとてつもない低予算で、大変な思いをして作っている状況ですね。喰えない人が多い。

水島氏
昔は、映画というのは、よき『作品』と『商品』を調和させようとした。よき作品が、同時によき商品であるような、そんな事を我々は教わった。今は、分離していますね。

前田
分離していますね。上の方は製作費3億5千万円とかで作っているそうですが、下の方は、数千万あれば、いいほうで、数百万で作る人も結構いるという状況。真ん中がない恐ろしい状況になっている。

水島
30年前、フジテレビの2時間ドラマが、7千万円~8千万円で作っていた。今は、もう2時間ドラマが4千万円以下という。半額以下。

前田
そういう状況ですから、数で稼いで食うしかないわけですよ。当然、一つ一つ丁寧にやっている時間もないから、予算もないから、どうしても乱暴な作りになってしまう。だから映画業界に子供食堂が欲しいという。(貧困の子供たちのために食事を提供する子供食堂がいま、話題になっている。貧しい監督に食事を与えて欲しい)監督食堂ですね。笑。

室伏(経済評論家)
そういった状況で、YouTuberが、とりあえず瞬間的に受ければいいということで低俗な動画が氾濫している。映画とYouTube動画が一緒くたにされてしまっている。それくらい観る目が無くなっているんじゃないですか。

前田
そうですね。小学生以下、中高もそうですけど、その子たちの(映画の)視聴時間を奪っているというのが、じわじわときいてきて、彼らは、もう映画なんか観ないでYouTubeを観て育っているわけですよ。今は、もうYouTubeすら観ないで、TikTokなんですよ。15秒ですからね。もうYouTubeすら観ない。
 そうなってくると、2時間の映画観るかっていうと、ムリですよね。笑。
そういう視聴習慣がつかないまま大人になっていく。映画を観る人が育たない。恐ろしい感じがする。

水島氏
確かに、クラッシックも交響曲一楽章から四楽章まで通して聴く人がいなくなったという。アダージョとか綺麗なところだけ抜き出して聴いている。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上、主なやり取りをメモした。

 低予算といえば、お金がかかる時代劇は、民放から消えつつありますね。
NHKの大河ドラマなどは、低予算であえぐ民放の監督、プロデューサーからすえば、手の届かないところにある高嶺の花以上の、夢物語かもしれませんね。

 テレビの歌謡番組も減りました。往時の歌謡番組は、ビッグバンドがバックを務め、非常に質が高かったですね。
 現代のテレビのゴールデンは、お笑いタレントによる、グルメ番組や、バラエティーが席巻しています。

 平成不況を経て、我々を取り巻く特にテレビにおけるアートの質は、確かに低下しています。予算、時間の面で、映画界も然り。

 お気に入りの映画を映画館で複数鑑賞している我々世代は、シーラカンス世代として歴史上の遺物として絶滅種として記録されるのかもしれません。笑。

 HS信者の涙ぐましい映画愛は、決して自団体主義のものではなく、消えゆく映画館文化そのものへの愛の証でもありましょうか。

 地上波TVも、BSと同じく過去の遺産のみを再放送していくようになるのかもしれませんね。

私たちの世代では、それで十分かもしれませんが。
 
 15秒の映像鑑賞で育った子供達が、どのような映像文化を育てていくのかは、想像することができない未知の世界。

 少なからずというか多くのご年配の視聴者が、BSの再放送の時代劇を楽しみしているのは、自然のなりゆきでしょうね。

 子供たちは、TikTok
 年配者たちは、BS再放送

これも分断現象か。呵々。

※添付画像は、
〇国民的TV時代劇「水戸黄門」に、南原健朗さんが出演した時のもの。小沢 真珠さんと共演

〇NHK大河ドラマ「花神」(1977)に、佐久間象山役で出演したご尊父故・南原宏冶氏

 

 

 

 

 

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村

 

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

 


政治ランキング



エッセイ・随筆ランキング