高校の文化祭のようだったNHK日曜討論「1.5℃の約束 脱炭素社会 どう実現?」 | 加納有輝彦

高校の文化祭のようだったNHK日曜討論「1.5℃の約束 脱炭素社会 どう実現?」

昨日は、愛をもって他者を受容したいと宗教的内容で投稿しましたが、本日は、日本の屋台骨、エネルギー安全保障の健全な発展のために、亡国の環境原理主義を告発したい。私的には、これも愛の発露と勝手に自らの態度を受容しております。あしからず。

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「1.5℃の約束、今すぐ動こう。気温上昇を止めるために」と、NHKと民放各局が共同でキャンペーンを始めた。

「1.5℃の約束」は産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える国連の会議「COP26」の世界目標

日本政府は、2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目標に定めています。

この目標を達成するために、メディアが率先して取り組む決意を宣言したというわけだ。

 CO2削減目標に対しては、異論反論もあるわけだが、それらは捨象され、NHKと民放各局は絶対目標として規定している。

私などからみると、気候変動に関する大政翼賛会、異様な風景に見えてしまうのだが。

 さっそく、昨日のNHK日曜討論がこれをテーマに行われた。

「1.5℃の約束 脱炭素社会 どう実現?」

この文脈からすれば、パネリスト全員で、1.5℃の約束をいかに実現するかの議論になるわけだが、さすがのNHKも、パネリスト5名のうち、1名は、この目標に対する慎重派を入れた。

 東京大学公共政策大学院特任教授の有馬純氏である。

 有馬氏は自らが、地球温暖化外交で交渉官を務められ、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に15回も参加している当事者かつ権威でいらっしゃる。同時に、「亡国の環境原理主義」という著書もある通り、性急なCO2削減に対しては、慎重であるべきとエネルギー安全保障の観点から日本のCOP追従政策に警鐘を鳴らしておられる重鎮。

 NHKは、最適な人選をしたと思う。

もう一人、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹杉山大志氏をパネリストとして呼んだら、完璧だったが、その選択肢はゼロであったろう。笑。

日曜討論のパネリストは以下の通りであった。
東京大学大学院特任教授
有馬純 さん

気候変動イニシアティブ代表
末吉竹二郎 さん

クライメート・インテグレート代表理事
平田仁子 さん

信州大学特任教授
夫馬賢治 さん

record 1.5共同代表
山本大貴 さん

 討論を聴いて率直に感じた事は、有馬氏以外のパネリストは、有馬氏が従来より批判しておられる「亡国の環境原理主義たち」であった。

 有馬氏は自らの著作で、何度も、日本が「化石賞」を受賞した経験を書いておられる。

日本のマスコミは、これを大きく報道するのが常であった。

化石賞とは公的なものでは全くない。
環境団体が、日本は、CO2をたくさん排出する化石燃料に囚われている。化石のように頭が固い。「恥を知れ!日本!」という賞である。

 この授賞式の雰囲気を、有馬氏は、高校の文化祭のような感じと表す。さらに、これらを主催する環境団体は、CO2排出の多い石炭を目の敵にしているが、世界最大の石炭消費国・石炭火力輸出国である中国に対して「化石賞」を与えたことは一度としてないと、その偏向を告発しています。

 ある時は、この「化石賞」の第一位から第三位までぶち抜きで日本が受賞することもあったといいます。

 有馬氏ご本人は、これらの意地悪を、むしろ「勲章」くらいに思っていたという。そう、高校の文化祭のノリなのである。

 高校の文化祭のノリといえば、まさに昨日の日曜討論の図は、有馬氏というその道の専門家の大学の先生を高校の文化祭に招いて、理想主義ではあるが、現実的知識の未熟な高校生がアレコレ言いたい放題言って、有馬先生が、丁寧に高校生の未熟な知識を補うべく諭していらした・・・そんな図に見えた。笑。

 気候変動イニシアティブ代表末吉竹二郎氏などは、蒼い高校生を引率し煽っている担任のような存在で、この方こそ亡国の環境原理主義の頭目にみえた。

信州大学特任教授夫馬賢治氏などは、失礼ながら、まだまだ勢いだけで思慮不足の高校生の代表くらいにしか見えなかった。ただ、饒舌に語る内容は、大人の目をくらますことのできるような錯覚させるような独善性を持っていることに危惧した。

 クライメート・インテグレート代表理事平田仁子さんは、有馬先生が、丁寧に彼女たちのスタンスの誤謬を語るのだが、馬耳東風、一切、耳に入らないようだった。

 思わず笑ってしまった場面がある。

 有馬先生が、再生可能エネルギーの旗手、太陽光パネルの多くが中国製で、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の強制労働の関与の可能性を語った。そして、その地におけるパネルの製造には、平田さんたちが憎む石炭火力による電力がふんだんに使われ製造されている「愚」「矛盾」も同時に語った。

 ウイグル人の強制労働の関与の可能性、そして石炭火力による膨大な電力を使って太陽光パネルが製造されている矛盾、これらの指摘を、平田さんは重く受け止めてくれただろうと私は期待した。

 すると、直後の平田さんの発言に驚いた。

再生可能エネルギーの活用等に対して、ネガティブな発想が多すぎる。屋根の上に太陽光パネルを設置する楽しさとかをもっとアピールすべきと宣うたのである。

 ウイグル人の強制労働の関与を語った、つまり屋根の上のジェノサイドの可能性を語った有馬先生の発言の直後に、平田さんは、屋根の上にパネルをつける楽しさをアピールしたのである。

 ウイグル人の人権を一顧だにしない、無視しているかのようで、そのデリカシーのなさに悲しくなった。


さて、このような高校の文化祭の一コマのようなNHKの日曜討論の後の番組は、民放各社も含めた「1.5℃の約束、今すぐ動こう。気温上昇を止めるために」のキャンペーン番組であった。

 なるほど、そういうことであったのか。

有馬先生の堂々とした正論も、NHKのアリバイ作りの一環でしかなく、その正論はかき消され、日本のエネルギー安全保障を破壊しかねない高校の文化祭レベルのような性急なCO2削減に向けて、マスコミを先頭に、暴走する助走だったのか・・・と暗澹たる気持ちになったのである。

 そういえば、ロシアによるウクライナ侵攻に関する日曜討論でも同じような図があった。

それは、ロシア通の東郷和彦氏がパネリストとして招かれていて、ロシア悪魔論の支配する中、ミヤシャイマーなどを引用し、ロシアの主張にも耳を傾けるべき点があると発言しておられたが、その後百田尚樹氏など筆頭に「なんであんな奴をNHKはだしたんねん?」と集中砲火を浴びた。

 東郷和彦氏に比べると、有馬純氏の正論は、討論を見ていた普通の視聴者には、十分に合理的に響いたと信じているが。

 5人のパネリストのうち、一人だけ異質な意見を入れるが、それはアリバイ作りが目的で、残りの4人のパネリストの意見の方向にマスコミ大政翼賛会が誘導していく。しかも、高校の文化祭のノリのような浅薄な考えの方向に・・・。

 感染症全体主義は、そのウィングを広げている。

 高校生の純心をバカにしているのではない。

実在の高校生の方が、もっと知的にバランスが取れていると思うのだが、マスコミが誘導する議論は、まさに亡国の環境原理主義なのである。

 

 

 

 

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