『日雇い労働者?』のガッツ
『日雇い労働者?』のガッツ
建設業務については、「労働者派遣法」において労働者派遣事業が禁止されている。当然、日雇い派遣も禁止されている。例外規定はある。
つまり、現在の建設現場に日雇い労働者は、原則存在しない。
下請け業者とは、請負契約を結んでいる。下請け業者の作業員は、それぞれ所属する会社の直接指揮命令で働いている。元請けの直接指揮命令ではない。
昔のイメージ、高度経済成長期、岡林信康の「山谷ブルース」に歌われたような日雇い人夫が現場を支えているというイメージは、現代の現場ではあたらない。
以上が大前提、大原則である。
が、それでも、現場には、イメージとして、あくまでもイメージとしてかつての「日雇い人夫」に見えるような方々もいらっしゃる。だから「いわゆる日雇い人夫」と以下、あえて表現したい。
彼らは、日当が決まっており、一生懸命働こうが、サボろうが、変わらない。一生懸命働こうが、それを正当に評価されもしない。だから言われたことを、最低限こなせば日銭は稼げる。
私の関わった現場で、いわゆる日雇い人夫のイメージを覆す人々がいた。
朝、始業前に彼らは現場に入り、非常に大切な前準備を、指揮命令されたわけでもなく率先して行っていた。
そして、明らかに、現場の進捗を少しでも進めようと意欲的に仕事をしていた。ある意味、正規社員よりも意欲的に。
極端に言えば、誰も評価などしていない。
日当が増えるわけでもない。
いや、かえって進捗よくすれば、残業がなくなり、彼らの唯一のプラスアルファの残業代もなくなる。
私は、いたく感動した。
一体、彼らを正規社員以上に駆り立てるものは何なのか。
ただただ仕事を一生懸命やり、よい現場にしたいという思い?
報酬が増えないとか、そんなケチな思いはない?そんなケチ臭いことは言わない?
仕事の精度を上げたい一心?
それとも仕事そのものが報酬?
私は心の中で手を合わせた。
あなた方の報酬をあげることはできない。私は無力である。
仏は見ていらっしゃる。
あなた方は、間違いなく「信用」という報酬を得ている。
信用という報酬は、やがて徳へと転化するだろう。
その徳は、オーラとなってあなた方を包むであろう。
そして、誰も知られることなく天の蔵に富を積んでいるであろう。
天の蔵の富と連動して、このような方のこの世の報酬もきっと増える。と信じる。
こういった方々に、日本のインフラは支えられているのだと改めて思った次第である。