防災の哲学「命を守るのは自分、行政にあらず」
東日本大震災の時、日頃の地道な防災教育により、多くの子供たちが迅速に非難し助かった「釜石の奇跡」・・・後に広く人口に膾炙した。
当時、釜石市防災・危機管理アドバイザーとして小中学校で防災教育を指導していたのが、片田敏孝氏(現東京大学大学院特任教授)である。
東日本大震災前、子供たちへの防災教育は8年にも及んでいた。
片田教授は、
「どんな津波が襲ってきてもできることがある。それは逃げることだ」と教えてきた。特に中学生には「君たちは守られる側ではなく、守る側だ。自分より弱い立場にある小学生や高齢者を連れて逃げるんだ」と話していた。東日本大震災では、多くの中学生が教えを実践したという。
今回の大水害をテーマとしたNHK日曜討論に出演されておられた。
片田氏の発言に非常に感銘を受けた。発言を細かく記憶していませんが、大意、相違はないと思います。
「役所に頼りきりの気持ち」が、多くの犠牲者を出す原因。「役所に頼りきりにさせた」行政の責任でもある。
「自分の命は自分で守る」この基本姿勢が、実は、自分のみならず、家族、ご近所、地域の住人の命を守ることになるという。
もちろん、お年寄り、病人等の避難に対しては、行政は責任を持つ。また治水工事等、インフラ整備は行政の責務。
「小さい頃お世話になったあのお爺ちゃん、大丈夫かな?いざとなったら自分が助けなきゃいけない(行政でなく、自分が)」
コミュニティーが大切。
また、よく「コミュニティーが崩壊しているので、防災体制が構築できない」という。しかし、これは逆だという。
「防災のために、コミュニティーを再生させよう」という発想が大事だ。
東日本大震災で、にわかに注目された方ではない。継続して防災、防災教育に携わってきた方の重みを感じた。
実は、片田氏は、学生時代同級生であった。学部が違ったので、顔を知っている程度であるが、学寮で同じ釜の飯を喰った仲ということで、氏のご活躍は嬉しくもある。(氏は、中津川市加子母出身、共に5年寮生活を送った)
岐阜高専 有志寮