忘れ去られた学者の話 | 加納有輝彦

忘れ去られた学者の話

 
戦時中の地下活動家に、実践理論を提供する学者H氏の話。
特高からマークされている地下活動家に対して、H氏は、理論を一から十まで諄々と説いていた。
 
 するとある日、活動家が、
「先生、申し訳ないが、先生の話を一から十まで聴いている時間が我々にはない。特高からマークされている。ズバリ結論だけ教えて下さい。」
 それを聴いて、H氏は深く反省したという。
それより後、H氏は、地下活動家に対して、いかに短時間で、いかに情報を凝縮させるか、そして何より分かりやすく伝えるかを心がけで接したという。
 その後、それが敷衍してH氏のレトリック(修辞)は冴えわたり、アジテーターとして70年代の学生の人気、支持を得たという。ちょっと顔がハンフリーボガードにも似ていて、学生運動のアイコンでもあった。
 
 私は、H氏の思想とは距離を置くが、氏のレトリックの技術には今でも憧れを持っている。
 
 H氏とは、もうすっかり忘れ去られ、今更、掘り起こす必要もない人、羽仁五郎氏である。
 

 
 
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