嗚呼!!全寮制高校 その20『涙、涙の初帰省』 | パパの男メシ!

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4月に入学して夏休みまで約4ヶ月あまり、こんなに時が過ぎるのが遅く感じたのは人生でこの時だけだろう。たった4ヶ月なのに3年ぐらいの長さに感じた。それもまあ仕方がないのは当然と言えば当然。朝5時半に起床して夜中まで1日18~20時間ぐらいフル回転で動いてるわけだから、一日が長く感じるのも当たり前だ。辛く長い奴隷生活も7月に入ると


帰省


の二文字が先に見えてくるから俄然テンションが上がる。少々、上級生様に殴られようが蹴られようが、この帰省という二文字を命綱と心得て正に





の一文字で耐える。頭の中では中学時代の友だちと遊ぶことや、美味いものを腹いっぱい食べることや、マクドに行くことや、思う存分テレビ観まくるとか、その他諸々楽しいことを想像し続ける(笑)。


しかし、そんなこと町の普通の高校生は当然のようにやってることで全然珍しくもないわけだが、我々は例えるなら、 27年間に及ぶ長い投獄生活からようやく解放された

 

 

ネルソン・マンデラ

 

 

のようなものなのだ(笑)。
 

 

 

 

 

そしていよいよ1学期の終業式が終わり一斉に帰省するんだが、ここで思ってもみなかった大誤算が発生!!!な、なんと!運動部はそれぞれ合宿に突入し、約2週間程度そのまま学園に残るというではないか!


聞いてないよ~(泣)




*神戸出身だった亡き竜兵さん、R.I.P



そして運動部のなかでは怠慢クラブと言われてたゴルフ部もやはりご多分に漏れず10日あまり合宿することに。ある意味、クラブ単位で寝食共にするのもまた地獄(泣)。何かね、血の気が引いたというか、天国から地獄へというか、とにかく一気にテンション下がって落ち込んだのを鮮明に覚えてます。



朝起きてまず掃除から始まるのは同じ。

 

違うのは授業の代わりにひたすら一日中練習に明け暮れるというだけ。


しかも真夏の岐阜県って死ぬほど暑い(汗)。


夏になると最高気温更新でニュース番組に出てくる多治見市のお隣さんで、しかも山の中腹の造成地
だからね、そりゃもう暑いってもんじゃない。それに輪をかけてゴルフ場の芝生の照り返しによる熱気なんてのは殆どサウナですよ(泣)。熱中症とかいう病名が無かった時代だが、いま思い返したら確実に重度の熱中症になってたのは間違いない。よく死ななかったものだ(笑)。



提携先のゴルフ場が休みの日に1年生は上級生様のフルセットバックを背負って1日2ラウンドしたのだが、大体スコアが90前後の人で歩く距離が18ホール1ラウンドで10キロ程度。しかし私が初日についた上級生様はとんでもなくド下手でOBが頻発して崖の下までボールを拾わされに行ったりしたんで恐らく15キロは歩いている、いや奴隷は基本ダッシュなんで走るといったほうが的確な表現かもしれない(笑)。それを2ラウンドするから約30キロほど真夏の炎天下のなか水も満足に飲ませてもらえない状態では走ってたことになる。今の時代なら確実にアウト!ですよ(笑)。





案の定、頭フラフラで気分悪くて夕食も全く食えず。でも何か食っておかないと明日まで持たないと思い、嫌々メシを腹に納めるが、結局後ほどトイレでスプラッシュ!!!便器とお友だち状態(泣)。


まあそんな地獄の合宿も終わっていよいよ待ちに待った帰省。


とりあえず大半は中央線に乗って一路名古屋まで。後はそれぞれの故郷へ向かって別れ別れに。

 

 

2学期にまたな~


と余り2学期のことは考えたくないので挨拶にも力が入らない(笑)。

 

 

神戸方面は誰もいないので、私はひとり新幹線に乗り念願の故郷へと旅路に着く。


京都に停車すると、だんだん懐かしい関西弁が乗り込んできた乗客から聞こえてくる。そして新大阪を過ぎてようやく新神戸が近づいてくる。この時に当時、寮生活のなかで唯一の心の支えだったウォークマンに大好きだったビートルズのアルバム「アビーロード」のカセットテープを入れて聴いていたのだが、後半部の「Golden Slumbers」から始まるメドレーのあたりから涙が溢れ出して止まらない(泣)。

 

 

 

*確かこのタイプだったと思う........(懐かしっ!)

 

 



この「Golden Slumbers」、ビートルズの曲の中でも1,2位を争うぐらい大好きな曲なんですが、ポールが古いピアノの教本に載っていた子守唄をヒントにして作った叙情的な歌で歌詞は以下の通り。
 

 

昔、そこには道があった
故郷へ帰る道が
昔、そこには道があった
自分の家に帰る道が続いていたんだ
おやすみ、かわいい子、泣かないで
僕が子守唄を歌ってあげるから

極上の眠りが君の瞼を覆ってゆく
君が目覚めた時には微笑みが君を起こすだろう
だからおやすみ、かわいい子、泣かないで
そうしたら僕が子守唄を歌ってあげよう

 

 

 

という如何にも郷愁を誘う歌詞なんで、4月に神戸を後にしてからの寮生活での辛かったことが一気に込み上げてきて自然に涙が出たなぁ。なので今でもたまにこの曲をピアノで弾き語りするんですが、油断すると涙が出そうになる(笑)。


そうしてるうちに遂に新神戸に到着!!!


ホームに降り立つとホームの窓面から懐かしい神戸の街並みが目に入ってきて何とも言えない気持ちになった。今は駅前に高層タワーマンションが数棟建っていて、駅直結で高層のANAクラウンプラザホテルがあるのだが、当時はまだ神戸市立中央市民病院だったと記憶している。






そして駅前のタクシー乗り場から個人タクシーに乗車し、自宅まで約10分ほど。家に着くまで街並みをずっと眺めてたように思う。数ヶ月離れてただけだから全然変わってないのは当たり前だけどね、なんか気分的には浦島太郎ですよ(笑)。


 

 

そういう郷愁に溢れた帰路を楽しみながら、とうとう家の前に到着!

玄関を開けた途端、おばあちゃんが一番に部屋から飛び出てきて私の姿を見るなり、ボロボロ泣き出して、

可哀想に~可哀想に~!


と嗚咽と共に連呼するから、


そんな可哀想な感じするか?


と聞いたら、


こんな痩せ細って!
ゴハンもロクに食べさせて貰えんかったんか?



と言うので洗面所に手を洗うついでに行きミラーを覗いたら、


おおっ~~!!!
オレ、異常に痩せてるやないかいっ!!!



って自分で驚く(笑)。

 

そう言えば毎日生きるのに必死で鏡なんかロクに見たことがなかったことに気づいて、おもむろに体重計足を載せて量ったとこら、入学時から比べておおよそ、


マイナス15kg


いっ~~~!!!


今更ながら自分で驚く始末(笑)。

 

*吉本新喜劇の内場勝則のギャグ「イッ~~~!」



それから久しぶりに家のゴハンを腹いっぱい食べたんだが、もう美味すぎてまた涙出た(笑)。

改めて家の、親の、家族の有り難さが身に沁みました。

親元で暮らしていたら、その有り難さってやっぱり分からないだろうな。こういうのは離れてみて初めて分かるもんですな。そういう意味ではその大事なことを認識できただけでも全寮制に入った甲斐はあったのかもしれない。


しかし、その有り難さを満喫出来るのも1ヶ月もなく......

更なる地獄が2学期に待っていようとはこの時はまだ露とも知らず......


ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
 

 

 

*次回に続く.........