嗚呼!!全寮制高校 その7『いい日旅立ち?』 | パパの男メシ!

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神戸に生まれ育って15年。
  

他府県へは旅行で数回行った程度でほとんど県外を知らない私。
  
  
もちろん東京へも一回も行ったことがなく。今と違ってあの頃は県外へ出たことない奴ってさほど珍しいことじゃなかった。だから家族と離れて岐阜県の山奥に移住するなど、地球外の惑星に行くぐらい遠い感じがしたんだな(ちょい大げさだが・笑)。

  
  
そして、ほんの一握りの期待に胸を膨らませながら、新神戸駅から新幹線「ひかり号」に乗り、一路名古屋まで。それから中央線に乗り換えて瑞浪駅まで。前に入学試験で来たことあるとはいえ、車窓から見える風景がだんだんとビルが立ち並ぶ雑然とした感じから緑生い茂る草深き山々へと変わっていく姿に何かしら一抹の不安を覚える。ちなみに入学式・入寮式は保護者同伴で保護者も園内にある研修センターにて一泊し翌日の入学式に臨むという日程につき両親共に学園へと向かったわけだが、何なんだろう、保健所に捨てられる犬のような居た堪れない気持ちは.....と思ったものだ(笑)。
  
  
後々考えたら、県外の私立の全寮制高校であるわけだから、学費に食費、寮費や細々した必要経費を含めると地元の公立高校へ電車通学するのと比較すると随分と贅沢なことさせてもらってるわけだ。しかし当時はそんなこと全然思わなかったから、何たる親不孝者だ!と、在りし日の自分に説教したくもなるところです(笑)。
  
  
そしていよいよ瑞浪駅に到着。昭和初期のレトロ感溢れるヨーロッパ建築を模倣した高級感のある阪急三宮駅に比べると駅前に信号もない廃れた寂しい雰囲気の小さな田舎の駅はどうしても違和感がある。しかしそんな望郷の念に浸っている暇はなく。改札を抜けて駅前ロータリーに出ると、学校関係者が新入生を出迎え、マイクロバスへと案内していた。


我々のところにもオールバックの若干ビー・バップ・ハイスクールに出てきそうなイカツイ風貌の三年生らしき男子生徒が近寄ってきて、

 

 

   

コンニチハ!!!
遠いところをようこそお越しくださいました!
自分は三年生の○○と申します!
学園まで私が案内させて頂きますのでどうぞ宜しくお願いします!
お父様、お母様、お荷物を運ばせて頂きます!


  
と背筋を真っ直ぐ伸ばし90度に深々とお辞儀するその姿に思いっきり面食らってしまった。まず神戸のそこらへんの高校生ではお目にかかることのない礼儀正しい高校生。見た目はコワイ感じはさておき。いや、戦時中の軍人の如き潔いこの感じはそうはいないだろう。ウチの両親も初っ端から度肝を抜かれ、その〇〇さんに、
  
  
いや~素晴らしいですね!
あなたのような礼儀正しい学生さん、人生で初めてです。
やはり学園で鍛えられるとそうなるんでしょうか?



と問いかけると、


学園ではまず挨拶を徹底的に教えられます!
大きな声でハキハキと。礼儀作法もいつ社会に出ても恥ずかしくないように教えて頂けます。自分も最初は挨拶すらまともに出来ませんでしたが、しっかりと仕込んで頂き人並みに挨拶や礼儀作法が身につきました!



と答えたもので、ウチの両親、感極まって、
 

 


やっぱりこの学校に決めて良かった!
アンタも〇〇さんのように立派な挨拶が出来るようになるのかと思ったら何か嬉しくなってきたわ。

 



と既に期待値がレベル8ぐらいまで上昇(笑)。まあ、私としても、こんな気持ちのいい礼儀正しく優しい先輩がいるなら大丈夫だな.....と妙な安心感で心落ち着く。そしてとうとう学園に到着。とりあえず、新入生はこれから生活していく寮へと親共々案内される。

 


そしてとりあえず1学期間生活することになる男子寮へ荷物を搬入。衣類や布団のような嵩張る荷物は事前に西濃運輸で発送しておいたので、それらを取り込みながらいず部屋へ。ここからは同部屋の上級生にバトンタッチされ、その上級生が荷物をもってくれて部屋まで案内してくれたのだが、ここでも上級生は信じられないぐらいひたすら優しく丁寧。


いや~、やっぱり道徳を基本理念にしてる学校は違うなぁ~と感心しまくるが、これが後にとんでもない勘違いだったと思い知らされることになるとはこの時は露ほども疑わず(笑)。


ちなみに寮は男子寮、女子寮とも各々9棟あり、3棟ずつ3つのブロックに分けられていて、1棟が3F建て、階段室を挟んで1フロアに2部屋、計6室。1Fの中央に補助室(納屋のようなもの)、2Fの真ん中に集会室、3Fの真ん中はベランダ、各階中央部分に洗面所とトイレという構成。


それで私はCブロックのC-2寮の5番室という部屋でしたが、この時に初めて入寮前は同級生同士という部屋の構成と思っていたのが1部屋に各学年2名ずつの6人部屋が基本構成という事実を知る。


えっ~?なんか話違うぞ!
これじゃ下級生の間は自由きかへんやん?
ヾ(-ε-; )ォィォィ



と何か雲行きが怪しくなってきたと感じつつも、


まあでも上級生の皆さん、優しい人ばっかりやし良しとするか!


と何故か前向きな気持ちで明るく振る舞う。
今になって思えば、世間知らずの高枕....というやつですね(笑)。


部屋の間取りは、廊下を挟んで南側に6~8畳程度の各々押入れのある和室、北側に180cmぐらいのカーテン付き衝立で仕切られた机のあるトイレ個室程度の大きさの各人個室が並ぶ。


そして個室で荷物整理を始めてしばらくすると、これから寝食を共にする同部屋の新入生Sくんがいよいよ登場することになるのだが、このSくんがとんでもない風雲児でこの男と共に波乱の寮生活が始まることになる。


*次回に続く..........