主な登場人物

🌸ぱんざぶろー若君

主人公。2500石取の大身旗本の若君。小姓組組頭を勤め、神田橋近くに上屋敷を構えるが、ご近所は勘定奉行だのお大名だのばかりで、いささか肩身の狭い暮らしをなさっている。点在するご領地の隠れ里の桃豹村がお気に入り。
上屋敷維持する現金収入得るために、屋敷近くの鎌倉河岸で廻船問屋兼薬種問屋桃屋を町衆装い、営んでいる。

🌸桃園宮桜子姫君 

一昨年の雛の節句に、若君にお輿入れされた零落した宮家遠縁の姫君。結構しっかり者で、茶の湯、小太刀をよくする。若君の副業のことは未だご存知ではない。
若君と共に隠れ里の桃豹村におわし、桃豹村薬草園を管理するために、本草学を学ばれている。

🌸影武者ぱんのすけ

貧乏旗本次男坊で、甥と同い年の厄介叔父だった若君の影武者。文武両道に優れ、剣術は小姓組随一の使い手で、八丁堀与力の幼馴染がおり、捕物に手を貸すこともあり、江戸の三男(与力・力士・火消)凌ぐもてっぷり。若君の副業助けるために、桃屋の番頭として奔走している。

🌸影武者ぱんしろー

貧乏公家の末子で、有職故実に詳しい若君の影武者。かなりの切れ者で先読みが得意な策士。茶の湯では姫君の兄弟子。若君が副業営む桃屋では、手代として得意の接客をこなしつつ、企画力&算術を駆使して売上を着々と上げている。祖母は姫君生家の茶道師範。一家で姫君ご入輿に尽力し、姫君からの信頼が篤い。

🌸村長(むらおさ)

元御番医。漢方医の家に育ったが、長崎に遊学して蘭方医学を修める。小石川薬園に出入り許可され、養生所でも研鑽を積む。処方薬が大評判を取り、面目潰された奥医師筆頭の典薬頭半井一族の怨みを買い、大奥女中多数と上臈お年寄絡みの由々しき事件に巻き込まれる。冤罪着せられて闇に葬られるところを若君に助けられて、現在は桃豹村の村長を任され、薬草園を作りながら捨子や迷子の世話をしている。

🌸桃豹殿

巷で猫叉だの九尾の狐だのと秘かに囁かれている、年齢・前歴不詳の若君の後見。普段は鎌倉河岸近隣の子どもたち相手の手習所師範したり、出張教授したりしている。若君が羽目外さぬように見張り、あちこちに出没するため、怪しの眷属がいるのではと若君たちに怖れられている。

🌸村長宅に身を寄せる童 梅吉

山菜採りと調理名人。三年前の早春に桃豹村万福寺墓地で保護され、村長宅で下働きしている。若君に気に入られ、昨年から賄い方として館にも出入りし、恩義のある村長や若君に忠節を尽くしている。

🌸館に住まう小者 楓

村長の遠縁に当たる、ぱんしろーさえ褒めちぎるほどの働き者。

🌸館に住まう小者 藤丸

若君の代行勤番で忙しいぱんのすけの替わりに、桃豹殿が手配した館の警護役。



ぱんざぶろー若君は、昨夏はそれでも月の半分は上屋敷に戻り、桃屋の商いにも顔出しができた。
しかし、流行病ころにゃんは収束を迎えるどころか、益々あちこちにて猛威を奮い、大勢の者が罹患して療養所は何処も溢れ返り、死者もうなぎ上り。

ために、弱っちい若君に万一のことあらば御家の一大事とて、家中で一番壮健なるぱんのすけが影武者として江戸城に代行勤番している。そしてご自身は、昨年晩秋以降は桃豹山の天辺の館に押し込めになっておられた。

罹患者数は町方だけでなく、武家でも増える一方にて、水無月の終わりには、大名旗本に火急の用件以外は登城禁止令が出た。
権現さまが江戸入りなされた八朔御祝儀には、各大名旗本たちは祝辞申し述べる替わりに、古式床しき平安朝さながらの色紙に和歌書き記し、将軍家に差し上げることになった。

若君は有職故実に明るいぱんしろーのお蔭で面目施し、お覚え目出度き証に、その色紙は中奥の上様御座之間屏風に貼られている。源氏物語に滅法弱い上様が如何にもお好みになりそうな歌である上に、薄浅葱に紅藤重ねた薄葉の流麗なる小野お通※を思わせる散らし書きが、いたくお気に召したと見ゆる。

※小野お通
安土桃山期の女性書道家。


さて、若君の裏稼業の桃屋はと申さば、八朔※には前まえから配りし整理券と引換えに、暑気払いの妙薬を販売して大評判をとった。
五倍ほどの冷水にて希釈する「紅玉(こうぎょく)甘露水」である。赤紫蘇の煮汁に米酢を配合し、砂糖を加えた美しい色の飲み物は、見る者誰しもを魅了した。
清々しき飲み口と胃の腑に収まるや頭の霧が晴れ、五体が軽くなるという効用に、流石稲荷大明神の霊験あらたかと畏れ入ったのである。


※八朔
八月一日


この甘露水は桃豹村特産の飲み物である。数年前の夏、桃屋裏手にある船宿にお忍びでいらした上様に食前酒替わりにお出しした際に、大いにお気に召されたものであった。
美味にして薬効もありということで、時をおかずして桃屋は、上様よりの暑中御見舞として、禁裏に贅を凝らしたぎやまんの瓶と盃と共に献上仕るように仰せつかった。南蛮渡りの葡萄酒よりも更なる美しき色とまろやかなる味わい、更に清々しき心地すると、頭痛もちの帝もいたく御気色(みけしき)麗しくあらせられた由。
以来桃屋では、梅雨明けの頃に千代田のお城と禁裏に「紅玉甘露水」をお納めしていた。

しかしながら、昨年にひき続き、この夏もころにゃんにより世情不安定で、不平不満分子もちらほら出て来て、何やらよからぬこと共画策する者共もあるやに聞き及ぶ。
こんなときこそ万民と一丸となってこの難局を恙無く乗り切ることこそ善政と、お小姓組頭の若君は鷹狩の際に上様にこっそり耳うちなさった。

「世情厳しきときのお慈悲は、皆々の心に格別に沁み渡り、上様のご評判を更に上げまするぞ。」

「左様か。」

「この際、御敵少なからぬ禁裏にも御味方作られませ。先ずは畏れ多くも帝の御威光を拝借仕るが肝要かと。」

「…ふむ。して、如何に?」

「我らがお城と禁裏のみにお納めしておる『紅玉甘露水』、格別なる大御心にて御留解かれましては如何かと。さすれば皆々その恩恵に預かれ、幸甚に先争うて御前にひれ伏さんと存じまする。」

「余は別段構わぬが、格別なる暑中御見舞として聞こし召す帝に於かれては、如何に思し召すかの。」

「そこはそれ、寛大なる思し召し賜るように、うまく誘導なされませ。世情厳しきとき、畏(かしこ)くも大御心の深さ賜る臣民たち、皆々こぞって尊奉申し上げるに相違なしとか何とか…。」

「全く、そちには敵わんの。よきに計らえ。」

「は!」

こんなやりとりがあったか否かは定かならねど、間もなく上様より帝に奏上があり、お許し得て甘露水は御留解禁となった。これにより多くの人々ひしめく江戸市中と上方のみで、「紅玉甘露水」の販売が決まったのである。

帝や将軍さまの召上がり物を下々が軽々しく戴くなど畏れ多きこととて、調製元の桃屋では、甘露水を神君家康公江戸入りの八朔祝物として売出すことにした。
江戸開幕した権現さまあってこその平和な世が永らく続かんことを祈念し、確執少なからぬ禁裏と手を携えて皆々が達者で暮らす助けにせんと、暑気払いも兼ねて年一度だけの売出しにしたのである。

売出し期限は文月終わりの七日間で、値段は二合半で400文。米三升、あるいは一里の駕籠代に匹敵し、普通の職人の二日分の日当だ。それでも酒二升よりは安く、富くじより100文も安い。高値には違いないが、何しろ雲の上の御方々の召上がり物であるし、縁起物みたいなものだ。それを高いの何のケチつけるなんて、江戸っ子の名折れと取り沙汰されるだろうと踏んで付けられた値段だ。



ヒマワリ其の弐に続くヒマワリ



ぱんざぶろー若君
残暑の厳しさにお目々が虚ろであられるww




『若君明暮之記』放置三昧して、病みシリーズ始めて脱線しまくっていたビンボーハンボー教師桃豹。
夏休みは部屋散らかしただけで、毎日理科の実験(料理)三昧していただけwwwww
このくそ暑いのに、実験中も扇風機のみで冷房の部屋を嫌い、水浴びして風の道探しては過ごしていた。
浮世と隔絶して家中ふらふらするだけの数日間、ダダの一度も漫画以外に本読まず、持ち帰り仕事など、一切やっておらぬ…。
ま、ど〜にかなるんじゃね?
夏休みの宿題放置した気分であるww.
…ど〜にもなる訳ないよな(ーー;)。

8/30(月)は健康診断。
8/31(火)は職員会議。
9/1(水)は始業式&新型コロナワクチン2回目。

そして、前期試験対策の後はすぐ試験。
採点、成績処理。合間に指導要録作成。
延期になった修学旅行の新たなる行き先求めて、またまたあれこれ再検討。

気が滅入るのう。
(ーー)
最悪、行き先、箱根でもい〜やww
報われぬ哀れな社畜ならぬ校畜桃豹の旅は続く。



夏バテで益々影の薄い桃豹殿下ww