11/19(木)は体育祭だった。
日頃からふにふにくてくてしている2年生たちは、体育を気晴らし若しくは鬼ごっこの時間と考える輩揃いである。怠け者だが運動能力が決して低くない者が多いため、桃豹は秘かに優勝を狙っておった。
11/16(月)午前中に全体練習があったが、それにも出席しない不届き者がいる。
桃豹がスターター仰せつかった第一競技の宅急便リレー…練習不足もいいところだし、未だ走順やルールが頭に入っていない者がいてヤバイということで、本番前日に最後の練習をした。
アリーナでのコースの説明をした後、走るのが面倒なので実際よりかなり縮小したにわかコースで箱置いての練習なのだが、準備するのが大変だったらありゃしないのである。物品運び出すだけでもひと苦労だった。
「旗やバトン、フリスビーのカゴは持っていくから、宅急便の箱運び出して〜!」
「え〜?面倒くさ〜!」
「体育委員💢!」
「O、まだ来てない。」
Oくんは校内でも有名な遅刻魔で、ひどい時は昼近くに登校する。
「他にもおるじゃろ〜が!?」
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皆、死んだフリが得意である。
見かねた体育科教諭が箱出して来てくれて手近の生徒に渡しながら、心配そうにこちらを向いた。
「ボク、空いてますし…一緒に行きましょうか?」
「いやいや、H先生は明日の準備あるでしょう?大丈夫です。」
「…じゃ、お言葉に甘えて…。」
気配り抜群の彼は、繁忙時にさえあれこれ手伝ってくれようとする。
ホントのところ助っ人に来て欲しかったが、教員歴2年目にも関わらず、今回の体育祭を仕切る彼の手を煩わせる訳にはいかない。
練習終えてすぐ帰れるように鞄持たせた生徒たちを漸く外に連れ出すと、またまたでれでれだらだら。
「あちこちに鞄放り出すんじゃない!ひと処にまとめなさ〜い!」
練習不足で一番心配な宅急便リレーから始めることにして箱設置を指示するが、場所がわからずまたもやぐだぐだ…。
いちいち設置場所まで走って箱置いて来るだけで大汗かいてしまった。
宅急便リレー走者集めて第1&第2レース走者を並走させるべく説明するが、またもやてれてれ…。
「今日はMが来てない!」
「代走にN!」
「え〜!?ダルいよぉ〜!」
「やかまし〜!!」
油断すると何時でも何処でもスマホゲーム始める者たちを叱り飛ばす。
「授業中だろ〜が💢!?」
「え〜!?そうなのぉ?」
(#・∀・)ピキッ
あちこちに点在する者たちを一人で束ねるのは実に大変である。常日頃、広いグラウンドで声張上げねばならぬ体育科教諭の苦労たるや、計り知れないものがある。
こんなやりとりで、既に15分ロスってしまっている。
「2回だけやるから早く位置につけ〜!奇数走者はこっちで、偶数走者は向こう側!」
「あっちには箱置かなくてい〜んですかぁ?」
「第一走者が運ぶからい〜の!」
「あ、そっか〜。あはは〜〜!」
たらたらに加えてヒトの話を全く聞いておらず、なかなか前に進まない。
やっとスタンバイさせると、またぐちゃぐちゃ話してる者が出るが、そんなのに構っていたら練習時間がなくなる。
「位置について〜!」
…(ーー;)あれ?
何か違和感が…。んんん!?
第一走者何れも箱の後ろに突っ立っている。
「箱持て!箱ぉ〜!!」
「え?スタートしてから箱持つんじゃないのぉ?」
「箱はバトン替わりやん!バトン拾ってから走るリレーがあるかいな💢!」
「あ、そっか〜。あはは〜〜!」
(#^ω^)ピキピキッ
本番前日にしてこれかい…へたりこみそうになった。
やっとの思いでスタートさせて、ひと通り走らせたら暑さとストレスでくらくらした。
「次!リレー走者はバトンパス練習!他はドッジビー!」
てれてれのろのろ走った者たちはあちこちでふざけ始め、ベンチに座りこんでいる者たちは私語しててんで動かない。
(# ゚Д゚)ピキピキピキッ
「そんなに練習したくないなら、レポートやるから教室戻れ!!
センセ〜は体育祭なんか、どぉなっても知らん💢!!」
遂に雷落とす羽目になった。
桃豹は滅多に怒らないが、怒るとかなりコワイらしいww
空気が即変わって、皆それぞれ動き始めた。怒ると士気が萎えるからやりたくなかったのだが、致し方ない。あまり好まんが、これもワザの一つかな(苦笑)。
バトンの受け渡しのタイミングが悪い者と並走したり、用具片付けたりしていたら、体育科教諭が助っ人に来てドッジビーに混ざってくれた。
やれやれ、助かった〜(ーー;)。ホンマ、若いのに気ぃ利くわ〜。
でれでれしている者たちにあり勝ちなのだが、ウチのクラスの生徒たちは、とにかくエンジンのかかりが遅い。練習時間尽きる頃に漸くノリ始めるのである。そしてだらだら長引かせるのが常なのだが、他の邪魔にもなるために、けじめに煩い桃豹は非情なる終了ホイッスルを鳴らした。