北にランドマークタワー、西に富士山遠くに望む、横浜のとある高台に位置する桃豹家。横浜駅より半時間ほどの隠れ里にあるらしい。

定時上がりで横浜線に飛び乗り、寄り道せずに帰っても、急坂登る頃には陽は既に山の端に落ち、辺りには急に薄暗がりが迫って来る。僅かに明るさ残す西の空には、薄藍のなかに軽く紅刷いたような雲がぽぅと漂うが、見る間に深い藍に呑み込まれてしまう。

釣瓶落としの秋の陽が落ちるや、昼間の暑さは一気に払われ、そこここの叢をひんやりした風がひと薙ぎすると、唐突に虫集く夜がやってくる。

桃豹家ではその昔、ベランダに面した2階廊下に、鉢植えの蘭やら観葉植物と共に鈴虫の飼育箱が並んでいた。しかしながら秋深まるにつれ、連夜続く耳聾さんばかりの大合唱に、すぐ脇が自室だった受験生の桃豹が錯乱して、殺虫剤かけそうになったことも一度や二度ではない。

江戸期武家は秋の虫家で育て、風雅愛でる者たちに売ったのだが、桃豹家では近隣に無料で分けまくっていた。茄子やら西瓜の皮やら取り替える際に臭くて敵わんのも、鈴虫嫌いの理由の一つだ。
鈴虫配られた家の受験生たちは、無事に第一志望の学校に受かったのだろうか?…謎である(笑)。



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さて、長月半ばも過ぎると、若君は何だか気もそぞろにおなり遊ばす。桃豹同様大の紫好きの血が騒ぎ、間近に控える袷の時期のお召し物が気になって仕方ないご様子である。


今回のお召し物は、二種類の着物地で仕立てられた。古代紫に匹田模様と薄紫と白抜き紅葉が染められた布は、若君の着物分の半分もなかったために襟と身頃下半分、そでは片面ずつの下半分に使用。残り部分は 薄紫の無地である。






非常に軽くて薄く、艶やかながら薄手の紅絹裏が付いた人形仕立ての着物は、気温の上下が10度以上ある今の季節にぴったりだ。
この着物は紫好きの桃豹自身、着たくてたまらない。

紅型風の蔦が茜、薄納戸、利休鼠、葡萄色、苔色などに織り出されてた西陣帯は生成り色。かなりしっかりした地ゆえ、敢えて垂れを出した変わり文庫に締めてみた。




生成り地に薄紫の菊菱半衿。
銀糸✕薄茶✕薄蒼✕薄紅帯締め。
金の混じるラピスラズリの両脇を3つずつ淡水真珠で挟む帯留めに薄紫シフォンの抱え帯。
白柄白鞘短刀。

頭のものはキャンディの欠片と金を封じ籠めたようなオパール風アンティーク硝子。








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まだ日中は汗ばむ陽気だが、陽が落ちれば秋の夜長。
弱っちい若君は、生薬の書なんぞ読みながら、丸窓から月を見上げて月見団子のことなんか考えておられる。食いすぎも腹痛招くとて控えねばならぬを、その辺りには考え及ばぬとみえる。

2020年は10/1が十五夜で、10/29が十三夜。11/10は十日夜(とおかんや)※1。

※1 十日夜
旧暦10/10の収穫祭で月見ではないが、亥の子餅を供える。

今は昔、自らこねこね誂えて供えた月見団子、質素なる夕餉のあとに思わず箸付けしこと※2思い出し、独り笑い噛み殺しておられる。
あれから10年、光陰矢の如しとはよう言うたもの。これからも恙無きよう過ごせるように、餅撞く兎に幸いを希い、ことりと障子を閉められた。

※2 月見団子盗み食い
過去記事
ぱんさー劇場 秋 2010年&2011年所収。

あとで見たら…過去記事がない( TДT)!
ヤフログから引越しの際に飛んだ可能性あり。
忙しくて確認しなかったけど、ぱんさー劇場シリーズの記事、かなり消えたみたいです。
ぱんざぶろーが本物の小さい月見団子を、箸で小皿に取っている画像をわざと同じ季節に二年連続で使い回し、記事書いたのに〜!
度重なるヤフログ運営側のレイアウト替えで、何回目かで記事が横にズレて直せないままだった記事もなくなってることが判明…。
つまらないことにだけは抜群の記憶力を誇る桃豹、ちょっとガッカリです(ノД`)シクシク。
一応スクリーンショットで記事保存してあるから、ヒマな時に見てみよう。


昼寝時々読書ww
赤葡萄ゼリーに巨峰のおやつ

GO TO トラブル じゃなかった…
GO TO トラベル
2週間後の感染者数、増えるだろ〜な(ーー;)

電車の旅したいけど、我慢して、桃豹は家でゴロゴロ本読んで脳内トラベルします。