ESC2018を振り返ろう-6 お帰り!サルヴァドール~その1 | fumufumuのブログ

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ギリシャ・ネタ、音楽ネタを適当に綴っています。
ヘッダー画像はシフノス島のエプタマルティロス教会です。

43ヶ国の代表が熱い戦いを繰り広げたユーロビジョン・ソング・コンテスト2018。
グランドファイナルでの乱入者だけは許し難いけれど、それ以外は概ね順調。
カメラも音響も問題なかったし、進行役の4人もしっかりやりきったし。
美しいポルトガルの街を、訪れた参加者も楽しんでくれたようで、
初めてのホスト国として、ポルトガルは頑張ったよね!


そんなわけで、予想以上に楽しめた今回。
数あるシーンの中で一番の見所、一番の感動をあげるなら、私にはやっぱり
サルヴァドールのインターバルアクトです。

前年度の優勝者として、自国開催の大会に出演するのがお約束のようですが、
健康問題やら、彼のESCに対する興味の無さ(^^;)から、
「本当に出るの?」と、世界中のESCファンをやきもきさせていた彼。

RTPが公式に出演を発表しても、当日、ステージに彼が立つ姿を見るまでは、
不安が完全に消え去ることはありませんでした。


フィロメナさんとダニエラさんの高らかな呼び声が響き、
会場にいる人もテレビやネット配信で見ている人も、みんなが注目する中、登場です!

Salvador Sobral performs with Caetano Veloso
at the Grand Final of the 2018 Eurovision Song Contest


画面が後方からステージに寄っていくのをドキドキして見つめてしまう。
サルヴァドールが誰よりも信頼する音楽仲間、ピアニストのジュリオさんを横から映し、
そこから見えるサルヴァドールの足元と後ろ姿。
徐々に回り込んで正面で彼の姿が映し出されると、もう、それだけでが出て来た。 涙
サルヴァドールだよ
みんなが待っていたサルヴァドールだよ!

ESC2017の前から取り沙汰された健康問題は、心臓移植が必要なほどの状態で、
タブロイドが流す”重病説“を否定しきれなくなってしまった。
医療技術が進んでも、ドナーがいなければ移植は出来ない。
昨夏の涙のお別れコンサート後は、ドナーが現れるのを待つだけの日々。
歌いたいのに存分に歌えない、家族以外は立ち入れない病室での日々。

そんな辛い毎日を乗り越えたサルヴァドール。
変わらない姿で戻って-
-厳密には心臓機能をサポートするためにつけていた機器を外して、すっきりした姿になって-
ユーロビジョンの大きなステージに戻って来てくれたんだよ。


手術が成功して、長いインタビューにも答えられるようになって。
次々決まるライブや、アルバム制作の再開や、順調な回復を示すニュースはあったけれど、
それでも「まだ声がうまく出ないから」って、挨拶だけだとしても私は十分だったと思う。
それを、みんなが待ち望んでいた形、好きな歌を好きなように歌う、
サルヴァドールらしいステージを見せるために戻って来てくれた。
この瞬間に、リスボン大会は私にとって特別なESCになりました。


穏やかに歌い始めるサルヴァドールの声を、一音たりとも逃したくないと思っても、
自分の嗚咽がかぶってしまうし、
でPCの画面が見えないよ…

最初に披露したのは”Mano a Mano”(Hand to Hand)。
ジュリオさんが作曲した、秋に発売予定のアルバムからの新曲です。
先行でMVが公開されていて、そこで聴くことが出来た希望に満ちた力強い歌声に、
休業中の「強くなって戻っておいで!」というみんなの願いは、
本当にそのとおりになった、叶ったんだなとすごく嬉しかったから、
遠く離れたポルトガルとはいえ、リアルタイムで視聴するのがとても楽しみでした。


”Amar pelos Dois”を初めて披露したフェスティバル・ダ・カンサゥン2017の様に、
まだ歌い慣れていない歌を、歌詞を確認するかのように慎重に歌い出すサルヴァドール。
ピアノ以外には何も無いシンプルなステージなのに、温かさを感じる空間。
ESC本選レビューで演出がどうのこうのと書きましたが、サルヴァドールにはそんなものは不要。
一年前もそうだったし、多分、これからもずっと。

歌い出しの「おお~」という歓声も大きかったけれど、一区切りとなる手前、
2:11あたりからの波が寄せて来るような会場のうねりに、鳥肌が立ってしまう。
それまでは、会場のみんなが「大丈夫かな?」って息をのんでいたのを、
「ああ、サルヴァドールだ!」って確信したかのよう。

間奏で、ピアノの枠を使ってのパーカッション。
普段、ジャズ・バンドでの自らのライブでは、ヴォーカルが入らない部分で椅子に座った際に、
自分の腿を叩いて演奏に合わせていたけど、音を体で楽しむのも大好きなんだろうなあ。
https://youtu.be/9r-ccCnhP7M?t=6m10s
ここでの彼は「Music is feeling」を体で実践しているんだよね。
楽しみ過ぎて、歌の入りに間に合わなくなりそうなのも、彼らしい。
好きなことに夢中になってしまうなんて、いかにもサルヴァドールだもの。

間奏後からの歌唱は前半よりも力強く、内面から思いがほとばしるよう。
3:07からの抑えることが出来ないかのような情熱は、この曲ならではの表現なんだろうな。
この伸びやかさが大好きで、繰り返し聴きたくなる。


今、持っている全部を残すことなく出し切った、強くなったサルヴァドール。
音楽学校で学んだ彼の歌唱は技術に裏打ちされたものだけど、
技術的な上手さを超えた、まったく違う凄さをあらためて感じてしまう。
歌うことは生きること
この言葉をここまで実感させる歌い手は、私にとっては彼だけだもの。


サルヴァドールの凄さはもちろんだけど、
この曲でのジュリオさんの演奏が本当に本当に尊くて、
ここでも私は泣いた。
サルヴァドールが何故、ジュリオさんを誰よりも慕うのか、
何故、“音楽におけるソウルメイト”とまで公言するのか、
それがわかる、があふれた演奏。

Wikiにおける伴奏:
主たる旋律を演奏する単数または複数の歌手または奏者に対し、副次的な演奏をすることをいう。

ジュリオさんのピアノは伴奏じゃないよ。副次的なんかじゃないし、補佐の役割でもない。
サルヴァドールと常に一緒なんだ。同じ場所にいて、ピアノでデュエットしているんだ。
囁く時は囁く音で、歌い上げる時は遠くまで聴こえるような音で。
ジュリオさんのピアノだからサルヴァドールは自分を出せるんだ。
"Deixa lá o teu piano namorar a minha voz"という歌詞のままに。
ちょっと嫉妬したくなるほどの二人の結びつきが、ステージの上に表れている。

新曲を歌う喜びには、ジュリオさんを紹介できる喜びもあったよね。
ポルトガルではすでに有名なジュリオさん、海外でも公演経験があるジュリオさんだけど、
ESCでの注目度はやっぱりケタが違うもの。
去年も自分の歌唱のことより、曲に対する評価が一番嬉しかったサルヴァドール。
自分が愛する人、尊敬する才能の人が正しく評価されることが嬉しいんだよね。

会場の熱い声援に、いつものふわふわした語りにちょっとだけしっかりしたところを見せて、
ジュリオさんを紹介。
私、サルヴァドールの「Yahoo~!」が好きなんだ。

期待と想像をはるかに超えたステージに、昨年同様、早朝から号泣の私。
しかし、感動とお楽しみはまだまだ続くのです。

(長くなったので2に続きます)