口に出す言葉、文字にする言葉。そこに伝えようとする思いがあれば
気持ちは伝わると思う。逆にどんなに綺麗な言葉を並べても気持ちが伝わらない場合もある。
また、同じ言葉のなのに、時には伝わり、時には伝わらない場合もある。それは、なぜか、言霊が宿るか宿らないかではないのだろうか。
自分は言霊という存在を信じます。残念ながら、自分にはメールでの文章や顔文字では言霊を感じる事が出来ません。これも、霊感と同じで必要以上に強い人は感じてしまうのだろうけど。
「このまま付合っちゃおうか?」と言った。「10年経ったら考える。」
それが彼女の答えだった。
僕らは1ヶ月に一度という割合で会っていた。その当時、彼女は間近に国家試験を控え、実習やら研修で忙しかった。僕はケツの青い社会人だった。彼女よりも年上だった。彼女の仕事に関する夢や不安を含め色々な話を聞いた。妹みたいな存在ではあったが
それでも、会う度冗談交じりに「このまま付合おうか」と言うと、
「10年経ったら考える。」と軽く受け流した。この言葉が会った時の挨拶かわりの言葉になっていた。
ある時、彼女に向かって、あるゲームをするから2秒間だけ目をつぶってと言った。彼女が目を閉じた瞬間にキスをした。
「10年間の間で好きだという言葉を1万回言うと思う。1万回の言葉よりもたった1度のキスから始る物語だってある。」と言った。
唇が離れた時、彼女の背中は小刻みに震えていた。ゆっくりと開いた瞳は濡れていた。彼女は僕を見つめながら、
「私からもお願いがあるの。同じ様に目を閉じてくれる。」
僕は、ゆっくりと瞳を閉じた。
その瞬間に右に熱い痛みが伝わった。
「たった一度のビンタで全てが終わってしまう話もあるよ。」
僕は右の頬を押さえながら、こういう終わり方もある事を知った。
