『トイレのピエタ 』2015

 

http://eiga.com/movie/81334/


手塚治虫の名前で観てみようと思いました。ただし、原作ではなく、原案を元に作られた。

手塚は病室で死の直前まで、日記や漫画のアイデアを書きつづけていた。

死の間際に震える手でこんな事を書いた。

 

一九八九年一月一五日

今日はすばらしいアイディアを思いついた!トイレのピエタというのはどうだろう。

癌の宣告を受けた患者が、何一つやれないままに死んで行くのはばかげていると、入院室のトイレに天井画を描き出すのだ。

周辺はびっくりしてカンバスを搬入しようと するのだが、件の男は、どうしても神が自分をあそこに描けという啓示を、 便器の上に使命されたといってきかない。

彼はミケランジェロさながらに寝ころびながらフレスコ画を描き始める。 彼の作業はミケランジェロさながらにすごい迫力を産む。 傑作といえるほどの作品になる。 日本や他国のTVからも取材がくる。

彼はなぜこうまでしてピエタにこだわったのか?これがこの作品のテーマになる。

浄化と昇天。これがこの死にかけた人間の世界への挑戦だったのだ!


生前最後の文章であり、最後の原作としての扱いをされている。手塚の遺族からはこの映画は好意的には受け入れられているが、手塚の思いや語ろうとした事とは違うと納得はしてない的な事を述べている。

 

絵描き崩れの男性と女子高校生の二人に注目されがちだけど、決して恋愛物語でない。同じ病院にいる子供、その母〈宮沢りえ〉その二人の方に切なさを感じてしまった。

 

納得しないというのか、釈然としない、一つに死というものも、サラッと描き過ぎている。死の迫った病に対して、辛く、苦しく、時には汚かったりする、そういったものをサラッと取り払っている。そこにリアルを感じられず作られた綺麗事の物語にも感じてしまう。

 

主役の絵描き崩れの子は人気ロックバンドの人。演技が上手いのか下手なのかは微妙な所ですが、淡々とした所が逆に味になってます。それを脇がガッシリと固めている。ちなみに彼が出るという事で宮沢りえ、大竹しのぶも出演を承諾したみたいです。

手塚治虫という名前が無ければ、マイム的には観なかったかと思います。その名前が本格ワサビのようにズッシリときいて回るお寿司でもそれを感じさせない。

 

手塚治虫の思いなどは、引き継いでいる気はしました。
 

5/24